演題抄録

一般口演

開催概要
開催回
第55回・2017年・横浜
 

日本人における転移性ホルモン感受性前立腺癌の予後予測モデルの構築

演題番号 : O4-5

[筆頭演者]
久保田 聖史:1 
[共同演者]
赤松 秀輔:1、成田 伸太郎:2、魚住 龍史:3、水野 桂:1,5、澤田 篤郎:1、根来 宏光:1、齋藤 亮一:1、小林 恭:1、寺田 直樹:4、山崎 俊成:1、井上 貴博:1、羽渕 友則:2、森田 智視:3、小川 修:1

1:京都大学・大学院医学研究科・泌尿器科、2:秋田大学・泌尿器科、3:京都大学・大学院医学研究科・医学統計生物情報学、4:宮崎大学・泌尿器科、5:日本赤十字社大津赤十字病院・泌尿器科

 

背景
近年、欧米ではドセタキセルの早期投与や放射線・手術による局所制御など、転移性ホルモン感受性前立腺癌(m-CSPC)に対する集学的治療の有用性が認められつつある。一方、日本人の前立腺癌は欧米人と比較してホルモン治療への感受性が高いと言われており、今後は患者を層別化したうえで治療選択を行う必要性がある。本研究では本邦のm-CSPCの予後規定因子を同定し予後予測モデルを構築することを目的とした。

対象と方法
1996年から2016年の期間に京都大学で前立腺癌と診断された3033例のうち、初診時に所属リンパ節以外のリンパ節、遠隔臓器への転移を有する303症例を対象とした。初診時の背景因子および転記を後向きに調査し、Cox比例ハザードモデルの結果を基に予後予測モデルを構築した。さらに外部コホート127症例を用いてモデルの検証を行った。

結果
年齢中央値:71歳、血清PSA中央値:188ng/ml、観察期間中央値:43.7ヶ月であった。CHAARTED分類のLow volume症例が109例、High volume症例が171例であった。279例に骨転移、41例に肺転移、12例に肝転移を認めた。OS中央値:74ヶ月。多変量解析では、(a) EOD≧2 or 肝転移あり(p<0.001, HR=3.22)、(b)Primary Gleason Score = 5(p=0.021, HR=1.66)、(c)血清LDH値>220IU/L(p=0.022, HR=1.65)、の3因子が有意にOSに関わる独立因子であった。欠損値を除いた250例を(a)~(c)の因子の有無に応じて以下の3群に分類した。 低リスク群(n=88):因子なし。中間リスク群(n=82):(a)~(c)の1因子あり、または、(b)+(c)の2因子。高リスク 群(n=80):(a)+(b)、(a)+(c)の2因子、または、3因子あり。OS中央値は、全体:68ヶ月、低リスク群:未到達、中間リスク 群:59ヶ月、高リスク群:31ヶ月であり、各群間に有意差を認めた(p<0.001)。外部コホートのOS中央値は、全体(n=127):64ヶ月、低リスク群(n=24):未到達、中間リスク群(n=54):84ヶ月、高リスク群(n=49):27ヶ月であり、各群間に有意差を認めた(p<0.001)。

結論
本邦m-CSPC患者の生存期間は欧米からの報告よりも長かったが、一部で予後が特に不良な群が存在した。初診時の臨床パラメーターを用いて予後が有意に異なる3つのリスク群に分類可能であり、積極的治療を行う際の治療指針になり得ると考えられた。

キーワード

臓器別:前立腺・男性生殖器

手法別:集学的治療

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