演題抄録

一般口演

開催概要
開催回
第55回・2017年・横浜
 

我が国における精子凍結施行施設へのアンケート実態調査(厚生労働省調査研究より)

演題番号 : O4-1

[筆頭演者]
湯村 寧:1 
[共同演者]
太田 邦明:2、岩本 晃明:3、岡田 弘:4、辻村 晃:5、北澤 正文:6、鈴木 達也:7、柿沼 敏行:8、高江 正道:9、鈴木 直:9

1:横浜市立大学・附属市民総合医療センター・生殖医療センター泌尿器科、2:日本赤十字社那須赤十字病院・産婦人科、3:国際医療福祉大学 臨床医学研究センター 山王病院・リプロダクションセンター男性不妊部門、4:獨協医科大学・越谷病院・泌尿器科、5:順天堂大学・医学部附属浦安病院・泌尿器科、6:獨協医科大学・産婦人科、7:自治医科大学・産婦人科、8:国際医療福祉大学・産婦人科、9:聖マリアンナ医科大学・産婦人科学

 

【はじめに】若年性の男性がん患者(主に精巣腫瘍・白血病・肉腫)に対し放射線治療や化学療法が選択される。それらは生殖細胞への毒性が高く、精子形成能が低下し不妊の原因となりうる。若年性がん患者の治療後男性不妊は少子化を迎える我が国において大きな問題であり、妊孕性温存治療はそれを予防できる唯一の手段である。2006年に報告されたASCOの勧告においても妊孕性温存は推奨されている。精子の凍結保存は古くから確立されている方法であるが登録制ではないため実際に施行されている施設、患者数の実数把握といった現状がまったく把握されていない。そこで今回我々は厚生労働省主導の下、我が国の精子凍結の現状把握を行うため全国調査を施行する事とした。
【対象及び方法】精子凍結を行っている可能性のある全国695施設へアンケートを郵送し、本邦における抗癌剤治療前精子凍結を行っている施設数、その内訳,患者数、凍結精子使用状況、精子凍結の諸問題などについて凍結施行施設へ調査をおこなった。
【結果】695施設のうち329施設より回答を得た(回収率47.3%)。癌治療前精子凍結施行施設は153施設で多くは婦人科の開業医であり,年間凍結患者数10人以下の施設であった。凍結された精子の約20%は使用されているが、更新に来ない患者の比率も高く,更新期間が過ぎても患者へ連絡できずに保管を続ける施設もみられた。
【考察】 我が国の精子凍結精子凍結治療施設の多くは婦人科の開業医であり,年間の凍結件数はほとんどの施設が1~10名程度である,ということがわかった。また年間20名以上を凍結する施設の多くは泌尿器科であるが,その施設数は非常に少ないこともわかった。精子の凍結は卵子や胚と異なり登録制ではないのでこの数が把握できたことは重要であると思われる。 一方で更新に関する規定が曖昧であるために期限を過ぎても精子を破棄することができないでいる施設も存在することが判明した。今後の意見として凍結施設の一極集中化を求める意見,精子凍結に関する指針の作成,法整備を求める意見もみられた。精子凍結をスムーズにすすめる地域のネットワークを有する都道府県はまだ少数であり全国への普及も今後の課題である。抗癌剤治療前精子凍結はまだまだ国民の中に意識として浸透しておらず,癌治療医に対しても情報発信が不十分であると考えられた。より一層の国民,癌治療医への啓発・連携強化が必要である。

キーワード

臓器別:前立腺・男性生殖器

手法別:疫学・予防

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