演題抄録

一般口演

開催概要
開催回
第55回・2017年・横浜
 

がん患者や家族が求める他者の体験談―必要な時に必要な体験的知識は得られているか―

演題番号 : O33-3

[筆頭演者]
中谷 有希:1 
[共同演者]
八巻 知香子:1、高山 智子:1

1:国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センター

 

目的:がん医療においては、科学的根拠のある信頼できる情報が不可欠である。一方で、重篤な病と付き合う上で個別の体験的知識を必要とする人は極めて多い。がん対策においては患者会の活動やピアサポート機能の強化も進められているが、時間的・地理的制約のため、必ずしも全ての人が直接的なかかわりによって体験者からの経験を聴く機会や必要な体験的知識を得られるとは限らない。「体験談」を収集し、情報として提供することは大きな意義があると考えられる。本研究では、患者・家族がどのような時期に、どのような体験談を求めているかについて検討を行った。
方法:2014年~2015年に、全国の患者や家族等、毎年100名で構成される国立がん研究センターがん対策情報センター「患者・市民パネル」に調査時点で委嘱されていた144名に質問紙調査を行い、回答が得られた93名の記述内容の分析を行った。主な調査内容は、他者の体験を知りたいと感じた時期とその内容、既存の体験談によって知ることができたかの3つであり、回答は自由記述とした。知りたいと感じた時期を踏まえた上で、「知ることができた」「一部知ることができた」「知ることができなかった」の大きく3つのカテゴリーに分けて分析した。
結果:他者の体験を知りたいと感じた時期は、「検査・診断」「治療」「治療終了」「再発・転移」「逝去(家族のみ)」に大別された。「知ることができた」「一部知ることができた」体験が多く認められた一方で、患者が「知ることができなかった」ことには、「検査・診断」時では"妊孕性の温存"や"会社への説明の仕方"、「治療」時では"支援内容"や"車の運転の可否"、「治療終了」時では"再発(時期・治療)"や"先進医療"の体験が挙げられた。他方、家族が「知ることができなかった」ことには"相談場所"や"家族の精神的なサポート"、"本人への精神的なサポート"、"経済的支援制度"が挙げられた。
考察:一般的な検査や治療など多くの人が経験する体験については知ることができた人が多かった。一方で、経験者の少ない治療に関する体験や人生設計・生活上の個別の知恵など医療の管轄から離れる体験については、体験的知識を得ることは未だ難しい状況であることが明らかになった。以上より、ニーズはあるが、情報が得にくい他者の体験に関しては、特に意図的に体験談を収集・提供していくことの重要性が示唆された。

キーワード

臓器別:その他

手法別:患者支援

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