演題抄録

一般口演

開催概要
開催回
第55回・2017年・横浜
 

BCG膀胱内注入療法前のツベルクリン反応は膀胱内注入療法後の膀胱内再発と関連する

演題番号 : O3-3

[筆頭演者]
丹羽 直也:1,2 
[共同演者]
菊地 栄次:2、松本 一宏:2、小坂 威雄:2、水野 隆一:2、大家 基嗣:2

1:社会福祉法人恩賜財団済生会支部東京都済生会中央病院・泌尿器科、2:慶應義塾大学・医学部・泌尿器科

 

目的:筋層非浸潤性膀胱癌に対するBCG膀胱内注入療法は確立された癌免疫治療の一つである。ツベルクリン反応(ツ反)検査は、結核菌由来の蛋白様物質に対する遅延型アレルギー反応を生物学的基盤としている。BCG膀胱内注入療法施行前のツ反の臨床的意義は定まっていない。
対象と方法:1987年から2015年までに慶應義塾大学病院において経尿道的膀胱腫瘍切除術を受け、病理学的に筋層非浸潤性膀胱癌と診断、術後補助療法としてBCG膀胱内注入療法が施行された患者288人を対象とした。全例にBCG膀胱内注入療法を開始する1~2週間前にツ反検査が施行された。ツ反は、結核予防法の基準に基づき、硬結があれば陽性、硬結がなく発赤が10mm以上であれば弱陽性、硬結がなく発赤が10mm未満であれば陰性とした。BCG膀胱内注入療法中の副作用はmajorとminorに分類した。2日以内に改善した肉眼的血尿または下部尿路症状、2日以内に自然に解熱した37.5℃程度の微熱はminor副作用とした。注入後2日以上続く肉眼的血尿または下部尿路症状、38℃以上の発熱もしくは2日以上続く37.5℃程度の微熱、その他の副作用(前立腺炎、精巣上体炎等)をmajor副作用とした。ツ反と膀胱内再発およびBCG膀胱内注入療法中の副作用の発生頻度との関連について検討した。
結果:ツ反の結果は、66人(23%)が陽性、149人(52%)が弱陽性、73人(25%)が陰性であった。5年膀胱内非再発率は陽性群で89.4%、弱陽性群で65.5%、陰性群で56.4%であり、各々の群間で有意差を認めた。Cox比例ハザードモデルを用いた単変量解析では、腫瘍の多発性(p=0.025)とツ反陽性(p<0.001)が膀胱内再発と関連していた。多変量分析では、ツ反陽性が膀胱内再発と関連する唯一の独立した因子であった(ハザード比:0.213, p<0.01)。72人(25%)の患者でBCG膀胱内療法中にmajor副作用が見られた。ツ反陽性群、弱陽性群、陰性群では22人(33%)、40人(27%)、10人(14%)にmajor副作用が見られ、その発生頻度は陽性群で有意に高かった(p=0.021)。
結論:BCG膀胱内注入療法施行前のツ反検査は、BCG膀胱内注入療法中の副作用の発生頻度およびその後の膀胱内再発率と関連していることが示唆された。ツ反陽性の患者ではBCG膀胱内注入療法による副作用が高頻度で見られるが高い治療効果も期待できることが推察された。

キーワード

臓器別:腎・尿路・膀胱

手法別:免疫療法

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