演題抄録

一般口演

開催概要
開催回
第55回・2017年・横浜
 

尿中剥離細胞に対するヘキサアミノレブリン酸を用いた光力学的診断

演題番号 : O3-2

[筆頭演者]
中井 靖:1 
[共同演者]
植田 圭祐:2、森澤 洋介:1、辰巳 佳弘:1、前坂 郁賢:1、富澤 満:1、尾張 拓也:1、田中 宣道:1、藤本 清秀:1

1:奈良県立医科大学・医学部医学科・泌尿器科、2:奈良県立医科大学・医学部医学科

 

[緒言]膀胱癌の診断に対して、従来の細胞診が非侵襲的な診断方法としては現在golden standardであるが、感度が低く、満足できる検査ではない。以前より我々は光感受性物質であるアミノレブリン酸(ALA)を用いて、尿中剥離細胞に対しての光力学的診断(AFC)の有用性を報告してきた。しかし、このAFCにおいては、細菌によると考えられる偽陽性症例が存在し、特異度の低下がみられた。そこで、細菌の影響を受けないと報告されているヘキサアミノレブリン酸(HEX)を用いた光力学的診断(HFC)の有用性につき検討した。
[対象と方法]①膀胱癌細胞株であるT24細胞株のみ、大腸菌のみ、T24細胞株と大腸菌の3つのサンプルにALAおよびHEXをそれぞれ加え、2時間培養したのちにspectrophotometerで蛍光強度を測定し、大腸菌の蛍光強度への影響を検討した。
②経尿道的膀胱腫瘍切除術で癌と診断された50例、癌の疑いおよび既往のない外来患者50例を対象とし、採取した尿を、処置なし、ALA(1mM,1mL)、HAL(0.1m,1mL)の3つに分け、2時間培養したのちspectrophotometerで蛍光強度を測定した。ROCカーブを作成し、感度、特異度を求めた。
③膀胱鏡を行う外来患者50例に対して、尿を採取し、処置なしとHAL(0.1m,1mL)の2つに分け2時間培養したのちspectrophotometerで蛍光強度を測定したのち、HFCの結果と膀胱鏡所見とを比較した。
[結果]①ALAで処理した場合は、大腸菌のみのサンプルにおいて蛍光強度の上昇を認め、T24細胞株と大腸菌のサンプルにおいては、大腸菌による蛍光強度の上昇が認められ、T24細胞株のみのサンプルよりも高い蛍光強度を示した。一方、HALで処理した場合、大腸菌による蛍光強度の上昇が認められず、大腸菌のHFCへの影響がないことが示された。
②AFCのAUC、感度、特異度は0.77、74%、70%であり、HFCのAUC、感度、特異度は0.81、74%、94%であった。HFCのAUCが優位に高く(p<0.001)、HFCがAFCよりも精度が高いことが示された。
③HFC陽性の患者13例のうち、10例で膀胱鏡でも腫瘍の所見を認めた。37例のHFC陰性の患者のうち、2例が膀胱鏡で腫瘍の所見を認めた。HFCが膀胱鏡を行うかどうかを決定するツールになり得ることが示された。
[結語]HALを用いた膀胱癌尿中剥離細胞に対する光力学的診断は簡便、安価で、精度の高い非侵襲的な診断方法であることが示された。

キーワード

臓器別:腎・尿路・膀胱

手法別:診断

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