演題抄録

一般口演

開催概要
開催回
第55回・2017年・横浜
 

尿路上皮分化マーカーによる膀胱癌の免疫組織学的層別化は予後予測因子となる

演題番号 : O3-1

[筆頭演者]
林 哲太郎:1 
[共同演者]
仙谷 和弘:2、坂本 直也:2、牟田口 和昭:3、小畠 浩平:1、後藤 景介:1、神明 俊輔:1、井上 省吾:1、亭島 淳:1、安井 弥:2、松原 昭郎:1

1:広島大学・大学院医歯薬学総合研究科・腎泌尿器科学、2:広島大学・大学院医歯薬学総合研究科・分子病理学、3:中津第一病院・泌尿器科

 

背景:近年の膀胱癌遺伝子発現解析から、膀胱癌も乳癌と同様にluminalとbasal typeに分類され、luminal typeの典型としては乳頭状尿路上皮癌、basal typeの典型例は扁平上皮癌の特徴を持つことが示された。
材料と方法:膀胱全摘除術が施行された39例の純粋な尿路上皮癌と18例の扁平上皮癌への分化を含む膀胱癌症例(dataset-1)と、77例の様々な組織型を含む膀胱癌症例(dataset-2)に対し、UPK3とCK5/6の免疫組織学的検討を行った。UPK3は僅かでも発現を認めれば陽性と判定し、CK5/6は全層で発現が認められた場合に陽性と判定した。
結果:非癌部尿路上皮において、尿路上皮の終末分化マーカーUPK3は被蓋細胞でのみ発現が認められ、CK5/6は基底細胞でのみ発現が確認された。一方で中間層細胞ではUPK3、CK5/6ともに発現が認められず、尿路上皮の分化度に応じた免疫染色マーカーの発現が確認された。膀胱癌のdataset-1での免疫組織学的検討では、UPK3は乳頭状尿路上皮癌で44%、扁平上皮癌では0%の発現であった。CK5/6の発現は広基性尿路上皮癌で54%、扁平上皮癌で83%であった。次にUPK3陽性群(終末分化群)、UPK3とCK5/6陰性群(中間分化群)、CK5/6陽性群(未分化群)の3群に分類したところ、grade3 (G3)の頻度は29%, 40%, 78%、StageⅢ以上の症例が21%, 35%, 57%と、分化度の低下に応じて組織学的悪性度と病期が進行する傾向が認められた。さらに5年生存率も83%, 68%, 55%であり、予後と尿路上皮分化マーカーの発現の関係が示唆された。別の膀胱全摘コホート(dataset-2)においても、UPK3陽性群、UPK3とCK5/6陰性群、CK5/6陽性群におけるG3の頻度は52%, 68%, 73%、StageⅢ以上の症例が29%, 44%, 73%、5年生存率も95%, 59%, 49%であり、層別化された3群は悪性度や病期の進行、予後と相関することが示された。
結語:尿路上皮の分化度を反映したUPK3とCK5/6による免疫組織学的な層別化は、組織学的悪性度と病期の進行と相関し、予後予測因子となった。簡便な免疫染色による層別化は、臨床応用し易く、治療方針の決定に重要な情報となる。

キーワード

臓器別:腎・尿路・膀胱

手法別:病理

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