演題抄録

一般口演

開催概要
開催回
第55回・2017年・横浜
 

大腸癌根治切除例におけるバイオマーカーとしてのRAS、BRAF、MSI statusに関する検討

演題番号 : O28-5

[筆頭演者]
宮内 英聡:1 
[共同演者]
大平 学:1、加賀谷 暁子:1、今西 俊介:1、栃木 透:1、丸山 哲郎:1、松下 一之:2、糸賀 栄:2、石毛 崇之:2、松原 久裕:1

1:千葉大学・大学院・先端応用外科学、2:千葉大学・医学部附属病院・検査部

 

【目的】大腸癌根治切除例におけるRAS、BRAF変異およびマイクロサテライト不安定性(MSI)のバイオマーカーとしての意義を検討。
【方法】2013年1月より大腸癌根治切除例におけるRAS変異(KRAS exon 2/3/4、NRAS exon 2/3/4)、BRAF V600E変異をパイロット的に検索した308例、およびMSI statusを検索した298例を対象とし、根治切除後の予後との関連を検討。
【結果】all RASの変異頻度は48.1%(148/308)、このうちKRAS exon 2の変異は38.0%(117/308)だった。RAS変異例では組織型で高分化型(tub/pap)に比べて低分化型(por/muc)に多い傾向が見られた(p=0.108)。RAS野生群(n=165)の3年無再発生存率は74.9%、変異型(n=143)が61.5%で有意に野生群で良好であった(p=0.018)。stageII(n=100)およびstageIII(n=85)での無再発生存を比較すると、stage IIにおいては野生型で良好な傾向があったが(p=0.079)、stage IIIでは差を認めなかった(p=0.699)。BRAF V600Eの変異は6.8%(21/308)に認められ、原発部位で右側が、組織型で低分化型(por/muc)が有意に多かった(いずれもp<0.001)。BRAF野生型(n=287)と変異型(n=21)での3年無再発生存率はそれぞれ70.6%、56.2%で、有意差は認めなかった(p=0.12)。MSI-Hは8.1%(24/298)でに認められ、原発部位で右側が(p<0.001)、組織型で低分化型(por/muc)が有意に多かった(p=0.004)。根治切除全例でのMSI-H群(n=24)とMSS+MSI-L群(n=274)の無再発生存には有意差を認めなかったが(p=0.345)、stage II/III症例においてはMSI-H群(n=14)はMSS+MSI-L群(n=167)に比し有意に予後が良好で(p=0.046)、MSI-H群では再発例を認めていなかった。BRAF変異群21例をMSI statusで分けて無再発生存を比較すると、BRAF変異/MSI-H群(n=12)はBRAF変異/MSS+MSI-L群(n=9)に比し有意に無再発生存が良好であった(p=0.01)。
【考察】stage IIにおいてはRAS変異群の予後が不良な傾向であり、いわゆるhigh risk stage IIの因子となる可能性がある。Stage II/III大腸癌において、MSI-H群は予後良好であり補助化学療法が不要である可能性がある。BRAF変異/MSS+MSI-L群は非常に予後不良であり、強力な補助化学療法の対象とすべきかもしれない。
【結語】大腸癌根治切除例におけるRASやBRAFの変異有無、MSI status等は、補助化学療法を考える上でのバイオマーカーとして有用であることが示唆された。

キーワード

臓器別:大腸・小腸

手法別:バイオマーカー

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