演題抄録

一般口演

開催概要
開催回
第55回・2017年・横浜
 

Oxaliplatin投与後直腸癌における組織中の白金分布と抗腫瘍効果との関連性の検討

演題番号 : O28-3

[筆頭演者]
木庭 遼:1 
[共同演者]
植木 隆:2、西堀 麻衣子:3、石田 竜弘:4、永吉 絹子:1、貞苅 良彦:1、藤田 逸人:1、永井 俊太郎:1、大内田 研宙:1、大塚 隆生:1、中村 雅史:1

1:九州大学・大学院医学研究院・臨床・腫瘍外科、2:国家公務員共済組合連合会浜の町病院・外科、3:九州大学・大学院総合理工学研究院・エネルギー物質科学部門、4:徳島大学・大学院医歯薬学研究部・薬物動態制御学分野

 

【背景】オキサリプラチン(L-OHP)は大腸癌治療における主要薬剤の一つである。しかし、進行再発大腸癌に対するFOLFOX療法の奏効率は50%程度であるうえ、好中球減少症や高頻度の末梢神経障害などの副作用が治療継続を困難にする要因になっており、L-OHPを用いた化学療法に対する治療効果予測マーカーの開発が必要とされている。そこで我々は、L-OHP中の白金 (Pt) の腫瘍組織中動態と治療効果の相関に着目し、放射光蛍光X線分析を用いた腫瘍組織中におけるPt局在分布の可視化を試みている。
【目的】L-OHP投与後の腫瘍組織中のPt及び生体必須金属の分布を蛍光X線分析で可視化し、抗腫瘍効果との関連性を検討することで、L-OHPの腫瘍内動態や細胞活性の変化を明らかにする。
【対象と方法】2011年~2014年に当科でL-OHPを含む術前化学療法後に手術を施行した直腸癌10例 (SD/PD3例、PR5例、CR2例) を対象とした。さらにL-OHP非投与症例2例をControlとした。直腸癌の切除標本に対して大型放射光施設SPring-8のBL-37XUにて蛍光X線分析を行い、腫瘍組織中のPtや生体内必須元素の分布を可視化するとともに、抗腫瘍効果や治療期間・投与量との相関について検討を行った。
【結果】L-OHP投与症例の内訳は、XELOX 9例、SOX 1例であった。初回投与から手術までの中央値82日 (71-102日) 、最終投与から手術までの中央値34日(27-43日)、L-OHP総投与量は平均398mg/m2 (342-542 mg/m2)であった。蛍光X線分析では、腫瘍間質においてCR症例<PR症例<SD/PD症例の順に、Ptの集積量が少なく(p<0.001)、抗腫瘍効果の乏しい症例の方が有意にPtの集積が多い結果であった。これは組織学的治療効果(Grade)判定でも同様の傾向を示した。一方で腫瘍上皮では、PR症例とSD/PD症例でPtの集積に有意な差は認めなかった。また、投与期間や総投与量に関してもPtの分布との相関は認めなかった。
【結語】L-OHP投与後直腸癌において、腫瘍間質組織中のPtの集積と抗腫瘍効果との負の相関を認めた。腫瘍間質におけるPtの集積を測定することで、L-OHPの腫瘍内動態や耐性機序の解明の一助となりうる可能性が示唆された。

キーワード

臓器別:大腸・小腸

手法別:バイオマーカー

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