演題抄録

一般口演

開催概要
開催回
第55回・2017年・横浜
 

膵癌症例からの遺伝性乳がん卵巣がん症候群スクリーニングの検討

演題番号 : O26-3

[筆頭演者]
岡田 良:1 
[共同演者]
門馬 智之:2、武藤 亮:1、渡邊 淳一郎:1、佐藤 直哉:1、小船戸 康英:1、石亀 輝英:1、木村 隆:1、見城 明:1、志村 龍男:1、大竹 徹:3、河野 浩二:2、丸橋 繁:1

1:福島県立医科大学・医学部・肝胆膵・移植外科学講座、2:福島県立医科大学・医学部・消化管外学講座、3:福島県立医科大学・医学部・乳腺外科学講座

 

【はじめに】欧米からの報告では膵癌症例の約1割は家族性膵癌であり、その原因遺伝子は遺伝性乳がん卵巣がん症候群(hereditary breast and ovarian cancer : HBOC)と類似している。HBOCの原因遺伝子であるBRCA1/2遺伝子変異は、欧米での家族性膵癌において最も頻度が高い遺伝子変異(6~17%)と言われている。リンチ症候群の拾い上げにおいて、最も罹患頻度の高い大腸癌症例ではなく、子宮体癌症例を対象とする方法が試みられている。【目的】当院の膵癌症例を対象として、乳癌の合併の有無を検索することによる、HBOCのスクリーニングの可能性を検討する。【対象】2007年4月から2017年3月までに当院で診断・加療、もしくは既往が確認された膵癌症例を対象とした。通常型膵癌だけではなく、膵管内乳頭状腫瘍やsolid pseudopapillary neoplasmなどの低悪性度膵腫瘍も含めた。症例検索には当院の電子カルテシステムを使用した。【結果】対象期間での膵癌患者数は714人(男性434人、女性280人)、乳癌患者数は2902人(男性17人、女性2885人)であった。膵癌と乳癌の罹患歴をもつ症例は11例で、全例が女性であった。膵癌を先行発症した症例は3例で、発症時年齢(平均)は74歳、乳癌発症までの期間は2年3ヶ月(1例が同時発見)であった。また、乳癌を先行発症した症例は8例で、発症時年齢(平均)は67歳、膵癌発症までの期間は5年11ヶ月(2例が同時発見)であった。膵癌、乳癌以外の腫瘍性疾患の既往歴がある症例は3例(肝細胞癌、卵巣嚢腫と子宮頸癌、子宮体癌)であった。癌家族歴は7例(64%)に認め、膵癌家族歴を持つ症例が2例、乳癌家族歴を持つ症例が3例であった(重複1症例)。そのうち、2症例(18%)では、NCCNガイドラインの拾い上げ基準に合致し、HBOCの可能性が考えられた。【考察】膵癌・乳癌の罹患歴をもつ症例は女性11例であり、同期間の全膵癌症例の1.5%(女性症例のみでは3.9%)、全乳癌症例の0.4%(女性症例のみでも0.4%)であった。HBOCを背景とする乳癌症例は全乳癌症例の3~5%を占めるという報告があり、今回行った膵癌症例を対象としたスクリーニングではHBOCの可能性を持つ症例の拾い漏れの可能性があり、HBOCを疑うためには家族歴の確認が重要と思われた。【まとめ】膵癌症例を対象としてHBOC症例スクリーニングは検出感度が低かった。膵癌・乳癌の罹患歴を持つ患者では、その家族歴情報がHBOCを疑うために重要であった。

キーワード

臓器別:膵臓

手法別:疫学・予防

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