演題抄録

一般口演

開催概要
開催回
第55回・2017年・横浜
 

血清KRAS遺伝子変異による浸潤性膵管癌の予後予測因子と早期再発の検討

演題番号 : O26-1

[筆頭演者]
中野 容:1 
[共同演者]
北郷 実:1、松田 祐子:1、篠田 昌宏:1、阿部 雄太:1、八木 洋:1、西村 瑶子:2、竹内 文乃:3、板野 理:4、北川 雄光:1

1:慶應義塾大学・病院・一般・消化器外科、2:慶應義塾大学・病院・病理診断部、3:慶應義塾大学・病院・衛生学公衆衛生学、4:国際医療福祉大学・消化器外科

 

【背景】血液中の腫瘍細胞もしくは腫瘍細胞由来のDNAを検出する分子生物学的手法の発展により,膵癌における早期診断,治療効果判定などを目的としたバイオマーカーが同定され,テーラーメイド医療への応用が期待されている.
【対象・方法】2013年3月から2016年7月までに当院で手術を施行した浸潤性膵管癌45例を対象に,術前術後の血液サンプルを用い,血清から遊離DNAを抽出後,KRAS遺伝子変異をPNA-clamp法で検出し,血清中のKRAS遺伝子変異の有無(変異型:mtKRAS,野生型:wtKRAS)と予後との関係を後方視的に解析した.術前の血液サンプルは手術前日もしくは当日に採取し,術後の血液サンプルは退院前の全身状態が安定した時期に採取した.
【結果】年齢中央値は,69(38-87)歳,男性/女性:29(64.4%)/16例(35.6%)であった.術式はPD/DP/TP:25/16/4例,UICC分類によるpStageは,IA/IB/IIA/IIB/III/IV:2/0/8/35/0/0例,R0/R1:36(80.0%)/9例(20.0%)であった.術前もしくは術後のmtKRASはそれぞれ11人(24.4%),20人(44.4%)であった.術前血清におけるmtKRASとwtKRASの2群間の生存率に有意な差は認めなかったが,術後血清におけるmtKRASの1/2/3年の無再発生存率(DFS)は,44.4%/27.8%/0.0%であり,wtKRASの69.4%/44.8%/33.6%に比べて有意に低かった(p=0.014).術後血清におけるmtKRASの1/2/3年の全生存率(OS)は,94.4%/40.2%/26.8%であり,wtKRASの94.7%/86.1%/64.6%に比べて有意に低かった(p=0.044).術前KRAS変異ありなし:pre(+ or -),術後KRAS変異ありなし:post(+ or -)とし、術前術後のKRAS遺伝子変異の組み合わせにより4群に分けたところ,pre(-)post(-)/pre(-)post(+)/pre(+)post(-)/pre(+)post(+):20(44.4%)/14(31.8%)/5(11.1%)/6例(13.3%)であった.Cox比例ハザードモデルを用いて,予後予測因子に関して多変量解析を施行したところ,無再発生存期間に関しては,術後変異あり(HR=2.919, p=0.027),全生存期間に関しては,pre(-)post(+)(HR=9.419, p=0.004)がそれぞれ独立した予後不良因子として同定された.また、術後早期再発(6ヶ月以内)と血清KRAS遺伝子変異の相関関係も検討したところ,術後変異あり(κ= 0.426, p<0.001)とpre(-)post(+)(κ= 0.295, p<0.049)が有意な正の相関を示し,pre(-)post(-)(κ= -0.340, p=0.005) が有意な負の相関を示した.
【結語】術前術後の血清中のKRAS遺伝子変異は,膵癌の予後予測因子となる可能性が示された.

キーワード

臓器別:膵臓

手法別:バイオマーカー

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