演題抄録

一般口演

開催概要
開催回
第55回・2017年・横浜
 

当院における若年男性悪性骨軟部腫瘍患者に対する精子凍結保存の現状と課題

演題番号 : O20-6

[筆頭演者]
中山 ロバート:1 
[共同演者]
山田 満稔:2、宇高 徹:1、浅野 尚文:1、菊田 一貴:1、森岡 秀夫:3、浜谷 敏生:2、田中 守:2、中村 雅也:1、松本 守雄:1

1:慶應義塾大学・医学部・整形外科、2:慶應義塾大学・医学部・産婦人科、3:独立行政法人国立病院機構東京医療センター・整形外科

 

【背景】
悪性腫瘍の治療成績の向上に伴い、治療後の生活の質の向上が図られている中で、化学療法を要する若年患者の妊孕性温存は重要な課題の1つである。男性患者に対する精子凍結保存は確立された妊孕性温存法であり、当院では2011年より整形外科と産科が協力し、化学療法を施行した40歳未満のいわゆるAYA世代(Adolescent and Young Adult)の男性悪性骨軟部腫瘍患者に対し、抗がん剤投与前の精子凍結保存を行ってきた。本研究では、当院における若年男性悪性骨軟部腫瘍患者に対する精子凍結保存の現状と課題を解析した。
【方法】
対象は2011年4月から2016年12月までに当院産科に依頼し、精子凍結保存に関する説明を行い、同意を得た13例。年齢、診断名、ステージ、化学療法の内容、腫瘍学的転帰、精子凍結保存の可否、凍結精子の保管状況、妊娠・出産の有無を検討した。
【結果】
凍結時年齢は13-36(平均21.4)歳で約6割が10代であった。疾患背景として、診断は骨肉腫8例、粘液型脂肪肉腫2例、間葉性軟骨肉腫、横紋筋肉腫、ユーイング肉腫がそれぞれ1例ずつで、病期はⅡ(ⅡA+ⅡB)期が10例、Ⅲ期が1例、Ⅳ期が2例であった。同意を得た13例全例で精子凍結が可能であり、遅延なく化学療法を開始することが可能であった。全例で造精能に影響する薬剤が投与された。経過観察期間は4-72(中央値21)ヵ月で、初回治療を終えた12例の腫瘍学的転帰はCDF1例、NED2例、AWD2例、DOD2例であった。1年以上経過観察を行った12例全例で、凍結精子の保存定期更新手続きがされていた。化学療法後、自然妊娠・出産に至った症例が1例、凍結精子を用いた顕微授精により妊娠・出産に至った症例が1例あった。
【考察】
悪性腫瘍の診断から時間的猶予のない中で、治療開始を遅延することなく、同意を得た患者全例の精子凍結保存を行えていた。当院で精子凍結保存を行った悪性骨軟部腫瘍患者は6割が10代と若年者が多く、説明同意の取得に保護者の同席等配慮が必要であり、今後さらに若い患者に、どの様にアプローチすべきかが課題としてあげられた。本治療の有用性を正しく評価するには、今後も症例を蓄積しつつ、長期間の経過観察が必要であると考えられた。

キーワード

臓器別:骨軟部

手法別:QOL

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