演題抄録

一般口演

開催概要
開催回
第55回・2017年・横浜
 

希少がんにおけるvolume-outcome effectの検証の試み

演題番号 : O20-3

[筆頭演者]
富塚 太郎:1 
[共同演者]
神谷 諭:1、渡邊 ともね:1、岩本 桃子:1、東 尚弘:1

1:国立がん研究センター・がん対策情報センター

 

【背景と目的】
希少がん診療では、数少ない症例数を多数の医療機関で診療している現状に対し、集約化により限られた医療機関で多く症例数を集めることが提唱されている。集約化の利点として、がん診療においては医師当たりの症例数(外科医当たりの手術数など)とともに、病院当たりの患者数(hospital volume)の増加が、よりよい患者の予後と関連しているという報告がある。このvolume-outcome effectについては、症例の多い病院へのselective referralなど、患者の属性などの違いによるunobserved biasが指摘され、慎重な解釈が必要であるという報告もある。本研究の目的は、希少がんである肉腫において、現状ある情報を利用し施設毎の経験症例数と生存率との相関について検証を試みることである。

【方法】
院内がん登録における肉腫患者の生存率への症例数の影響について、cox比例ハザードモデルを用いて推計した。対象は、2007年1月1日から2007年12月31日までに、初めて肉腫と診断され、2007年度院内がん登録に登録された患者2,522名。診断から5年後までの生存を分析期間とした。施設群は施設毎の症例数(volume)について、年間登録症例数20例以上をHigh-volume、10例以上20例未満をmiddle-volume、10例未満をlow-volumeと3分割したモデルで分析した。5年生存率に影響を与えることが想定される年齢、性別を調整した分析と、病期の記載のあった1,445症例を用いて病期で調整した分析を実施し、施設症例数別群の死亡率への影響の推計を試みた。

【結果】
年齢、性別を調整したcox比例ハザードモデルを用いた分析では、low-volumeをreferenceとしてmiddle volumeのハザード比は0.74 (95%CI 0.62-0.88)、high volumeのハザード比は0.72 (95%CI 0.63-0.82)であり、症例数の多い施設で有意に死亡率が低かった。年齢、性別と病期で調整した分析では、low-volumeをreferenceとしてmiddle volumeのハザード比は0.68 (95%CI 0.53-0.86)、high volumeのハザード比は0.72 (95%CI 0.60-0.87)であり、変わらず症例数の多い施設で有意に死亡率が低かった。患者の属性は病期のみでかつ情報は限られた症例からしか得られなかったが、病期で調整後もvolume-outcome effectの存在が推定された。

キーワード

臓器別:骨軟部

手法別:医療政策

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