演題抄録

一般口演

開催概要
開催回
第55回・2017年・横浜
 

骨・軟部肉腫と生活習慣に関する疫学調査

演題番号 : O20-1

[筆頭演者]
荒木 麗博:1,2 
[共同演者]
山本 憲男:1、林 克洋:1、武内 章彦:1、樋口 貴史:1、阿部 健作:1、谷口 裕太:1、相羽 久輝:1、土屋 弘行:1、川井 章:2

1:金沢大学・大学院医学系研究科・整形外科、2:国立研究開発法人国立がん研究センター中央病院・骨軟部腫瘍科

 

【目的】
喫煙や肥満などの生活習慣因子は多くのがんの発症要因の一つとして挙げられている。近年、骨・軟部肉腫の発症と遺伝子異常との関連が解明されてきているが、生活習慣因子との関連についての詳細な報告は少ない。今回単一施設における骨・軟部肉腫患者における生活習慣因子とその関連について調査した。
【対象と方法】
2006年1月から2013年12月までに受診した骨・軟部肉腫患者のうち、初診時アンケートから生活習慣に関する回答を得られた1354人(骨276人、軟部1078人、男性754人、女性600人、平均年齢48歳(1~92歳))を対象とした。厚生労働省の国民健康栄養調査データ(平成26年度版)から性別・年齢をマッチングさせた1354人を比較対照群(以下、control群)として引用し、肉腫の各組織別に喫煙、飲酒、肥満、高血圧、糖尿病、高脂血症との関連について比較検討した。各因子のOdds比及びFisher's exact testにて有意差を算出した(p<0.05)。また家族のがん既往歴、自身のがん既往歴について調査した。
【結果】
骨・軟部肉腫患者の喫煙歴はcontrol群と比較してOdds比1.83(95%CI:1.53,2.19)、p<0.01と有意差を認めた。またcontrol群の平均喫煙率(男性32.2%、女性8.5%)と比較し、男性の軟部肉腫全体の喫煙率は47%(279/594人)と比較的高く、さらに脂肪肉腫及び分類不能型多型肉腫において各々58%(96/166人)、53%(62/117人)と高値を示した。一方、肥満、飲酒歴、高血圧、糖尿病、高脂血症と骨・軟部肉腫との明らかな関連は認められなかった。また第2親等までの家族のがん既往歴は骨・軟部肉腫ともに約半数(骨46%、軟部49%)に認められ、組織別(n=20人以上)では、MPNST64%(16/25人)、滑膜肉腫57%(31/54人)、平滑筋肉腫56%(32/57人)であった。がん種は胃癌>肺癌>大腸癌の順で多かった。一方、自身のがん既往歴は10%未満であった。
【考察】
骨・軟部肉腫と喫煙との関連について報告した文献は少なく、2004年のWHOの国際がん研究機関の報告においても軟部肉腫と喫煙の関連について明言していない。家族のがん既往歴は骨・軟部肉腫の約35-69%に関連があると報告されており、今回の結果もそれに合致していた。
【結語】
喫煙の曝露は骨・軟部肉腫、特に男性の脂肪肉腫や未分化多型肉腫の発症に関与している可能性がある。また第2親等までの家族のがん既往歴、特に胃癌・肺癌の既往歴は骨・軟部肉腫の発症と関連している可能性がある。

キーワード

臓器別:骨軟部

手法別:疫学・予防

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