演題抄録

一般口演

開催概要
開催回
第55回・2017年・横浜
 

高リスク患者に対する支持療法としての胸部食道癌周術期早期回復プログラムの妥当性

演題番号 : O1-2

[筆頭演者]
佐藤 弘:1 
[共同演者]
宮脇 豊:1、荒谷 憲一:1、中馬 基博:1、粕谷 真郷:1、郡司 久:1、合川 公康:1、岡本 光順:1、桜本 信一:1、山口 茂樹:1、小山 勇:1

1:埼玉医科大学・国際医療センター・消化器外科

 

【はじめに】周術期早期回復プログラムは,高度侵襲手術である胸部食道癌に対しても術後合併症予防に効果的であると報告されている.しかしながら,他疾患と比し,バリアンスも多く,様々な問題点がある.高齢者やサルベージ手術など,high risk症例に対しては,どのように運用すべきか,多くの課題を認める.支持療法の集合体でもある本プログラムの高リスク患者への適用について検討した.
【目的】胸部食道癌手術のhigh risk症例に対する本プロトコールの有効性と問題点を明らかにすること.
【対象と方法】サルベージ手術,80歳以上の高齢者,低心機能,頭頸部癌治療歴などの併存疾患を認める群をHigh risk群(H群)とし,その他をStandard risk群(S群)と分類.2012年4月から2016年3月までに右開胸開腹による一期的胸部食道癌切除再建根治例140例(H群:34例,S群:106例)に対し,retrospectiveに比較検討.術後入院期間は14日を目標.術前より口腔ケア・呼吸リハビリテーションの導入.術当日に手術室で気管内チューブを抜管.術後第1病日(POD1)から経腸栄養と歩行を開始し,術後第6病日の経口摂取開始を目標とし,中心静脈は使用せず末梢静脈栄養のみの管理.予防的抗生剤(CEZ)は,手術中3時間毎,術後4-12時間毎に術後第1病日まで投与.初回離床日,経腸栄養開始日,在院死亡率,術後合併症発生率,術後入院期間,縫合不全,術後肺炎の有無,術後30日以内の再入院の有無,長期入院例中の誤嚥の割合を比較検討.合併症はClavien-Dindo分類GradeII以上とした.
【結果】初回離床日(H:S=1.4:1.2,p<0.01),術後経腸栄養開始日(H:S=1.0:1.0,n.s.)1.3日,在院死亡率(H:S=6%:0,p<0.01),術後合併症発生率(H:S=53%:39%, n.s.),術後入院期間(日)(H:S=33.3:19.7,p<0.01),縫合不全(H:S=20%:13%, n.s.),術後肺炎の有無(H:S=8%:5%, n.s.),術後30日以内の再入院の有無(H:S=0:1%, n.s.).21日以上の術後入院期間を要した症例(H:S=18:36)中,誤嚥(H:S=6:10)であり有意差なし.本プロトコール自体での有害な事象なし.
【結論】H群ではS群と比較し離床,術後入院期間,在院死亡割合では劣るが,肺炎を含む術後合併症は増えずに再入院率も増加しない.High riskであっても本プロトコールが安全に運用され,術後合併症の予防に効果的.集学的な支持療法である本プログラムは,高リスク患者にも安全に運用出来,有用である.

キーワード

臓器別:食道

手法別:支持療法

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