演題抄録

一般口演

開催概要
開催回
第55回・2017年・横浜
 

胸部食道癌手術周術期におけるグレリン投与による抗炎症効果が予後へ与える影響

演題番号 : O1-1

[筆頭演者]
宮崎 安弘:1 
[共同演者]
益池 靖典:1、牧野 知紀:1、山崎 誠:1、高橋 剛:1、黒川 幸典:1、中島 清一:1、森 正樹:1、土岐 祐一郎:1

1:大阪大学・大学院医学系研究科・消化器外科

 

【背景】グレリンは,成長ホルモン分泌作用,抗炎症作用など多数の生理活性を有することが知られている.食道癌手術周術期におけるグレリン投与ランダム化比較試験の結果として,グレリンによる抗炎症効果,肺合併症抑制効果について我々は報告してきた.今回,本臨床試験におけるグレリン投与による抗炎症効果が予後へ与える影響に関して検討したので報告する.
【対象と方法】当科において施行された「胸部食道癌周術期におけるグレリン投与ランダム化第II相試験登録患者(グレリン群20例,プラセボ群20例)」を対象とした.本試験における2群間において,患者背景因子,手術因子,術後SIRS期間,CRP推移,病理学的進行度・組織学的効果判定,予後(3年無再発生存期間(RFS)および3年全生存期間(OS))に関して比較検討を行い,同時にCRP値と予後の関連についても検討した.
【結果】グレリン群:プラセボ群において,それぞれ男女比(18/2:17/3),年齢中央値(範囲)(66(53-75):68(57-74)歳),BMI(22.2(16.3-26.1):20.7(17-26.2)kg/m2),原発巣の局在(Ut/Mt/Lt)(3/9/8:2/11/7),術前臨床病期(0-II/III-IV)(9/11:10/10),リンパ節郭清(2領域/3領域)(8/12:9/11),手術時間(420(328-493):431(340-571)分),出血量(397(200-1220):425(100-1030)ml)であり,患者背景,手術因子に差を認めなかった.グレリン投与に伴う合併症はなく,グレリン群において術後SIRS期間の短縮(2.7±2.8日:6.3±6.0日,p=0.035),術後CRP推移抑制効果(ANOVA検定:p<0.05)が得られた.病理学的進行度0-II/III-IVはグレリン群14/6,プラセボ群9/11(p=0.11),組織学的効果判定0, 1a, 1b/2, 3はグレリン群12/7,プラセボ群13/5であり,有意差を認めなかった.観察期間中央値1132(30-1727)日において,グレリン群(3年RFS67.2%・OS67.5%)はプラセボ群(47.4%・49.5%)より予後良好な傾向がみられた(p=0.154・0.077).術後3日目CRP(カットオフ値15mg/dL)は予後と強く相関し,CRP Low群(3年RFS69.0%・OS68.7%)はHigh群(31.3%・28.9%)より有意に予後良好であった(p<0.01).CRP Low群はグレリン群(90%)に有意に多かった(プラセボ群(45%))(p=0.0057).
【結論】食道癌手術周術期におけるグレリン投与は抗炎症効果により術後CRPを減少させ,予後改善に影響する可能性が示唆された.

キーワード

臓器別:食道

手法別:支持療法

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