演題抄録

がん診療ガイドライン統括・連絡委員会企画シンポジウム

開催概要
開催回
第55回・2017年・横浜
 

がん情報提供と相談支援における診療ガイドラインの活用と活用のためのさらなる課題

演題番号 : GL-12

[筆頭演者]
高山 智子:1 

1:国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センター

 

2006年に開設された国立がん研究センターの「がん情報サービス」は、現在国内で、がんに関して最もよく見られるサイトとして、患者や家族だけでなく、多くの人々のがんを知るためのツールとなっている。その中で、各種がんの解説に関する情報(全69種)は、閲覧全体の半数以上を占める。「がん情報サービス」の各種がんの解説に関する情報は、各学会が出している診療ガイドライン(以下、診療GL)と規約をもとに原案を作成し、複数の専門家と患者の査読と評価を経て、さらに内容と言葉遣いや表現などを調整した上で提供されている。
開設当時から比べると、各種がんの解説に関する情報は、診療GLの普及により格段に作りやすくなった。それは、診療GLが幅広いがん種で作成されるようになったことが大きい。がん相談支援センターで行われる相談支援の観点からも、治療に関わるエビデンスや推奨があることは、がん専門相談員が行う医師と患者や家族をつなぐ活動の拠り所となるものである。もちろんそれが十分に機能するためには、国内の医師をはじめとする医療者の間で、診療GLにまとめられた診断や治療に関する知識や方針に関してコンセンサスが形成されていることが大前提である。
一方で、がん相談支援の場で、これらの貴重な情報を患者の意思決定ツールとして活用する場合には、まだ課題が残されている。がん種特定と療養に関すると考えられるガイドラインは、現在約50種類、そしてこれは、今後も増え更新も早くなると予想されるが、それを常にキャッチアップする形で、「がん情報サービス」を常に更新していくことは現状では難しい。また、診療GLすべての最新の情報がWeb上で閲覧・検索できる状態ではない。場合によっては複数のがんや複雑な療養状況にある患者や家族を目の前に、がん専門相談員が関連する情報を迅速に探し、理解し、その情報をわかりやすく提供することは至難の業である。さらに、患者や家族から語られる疑問や質問は、漠然とした内容から始まることも多く、診療GLで示されるClinical Questionだけで対応するには十分ではなく、患者の直接的な疑問に沿ったPatient Questionに対応する情報を補完していくことも必要である。
がん情報の基本となる診療GLをさらに活用していくためにも、学会をはじめとするがん情報発信の担い手たちが手を携えて、改めて患者らが活用できるがん情報提供のあり方を見直す必要がある。

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