演題抄録

がん診療ガイドライン統括・連絡委員会企画シンポジウム

開催概要
開催回
第55回・2017年・横浜
 

全国がん登録の現状

演題番号 : GL-2

[筆頭演者]
柴田 亜希子:1 

1:国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センター・がん登録センター

 

「全国がん登録」とは、2013年12月に成立し、2016年1月から施行されている「がん登録等の推進に関する法律(がん登録推進法)」で定められた、国及び都道府県による利用及び提供の用に供するため、国が国内におけるがんの罹患、診療、転帰等に関する情報をデータベースに記録し、保存する事業のことです。がん登録推進法は5つの基本理念から成ります。1) 全国がん登録によってがん対策のためにがんの罹患、診療、転記等の状況を正確に把握する。2) 院内がん登録によって病院のがん医療の分析、評価を行いその質を向上する。3) がん対策の充実のために、全国がん登録、院内がん登録及びその他のがんの診療詳細情報を収集する。4) 法に基づき得られた情報をがん調査研究に十分活用し、成果を国民に還元する。5) 法に基づき得られた情報は厳格に保護する。
2016年1月から、2016年以後に診断されたがんについて、法律に基づいて全国がん登録への届出及び院内がん登録全国集計への情報提供が開始されています。がん登録推進法によって、我が国のがん対策のために基本的な情報である、継続的で比較可能な罹患数及び生存率をもたらす全国がん登録と院内がん登録の実施、及び得られたがん情報を病院等や研究者に提供できる法的基盤が整えられました。一方で、全国がん登録や院内がん登録で得られる他の、がんの診療に関する詳細な情報を収集する具体的な仕組みは明確でなく、第3の理念の実現方法は継続検討中です。また、第4の理念については、2016年の罹患情報は2018年末までに整理され、2019年1月からの提供開始を目標とされています。研究者等からの情報提供の申請は、医療又は個人情報保護の専門知識を有する者からなる審議会等で審議されることになりますが、提供手続きや提供可否の基準について、予め厚生科学審議会がん登録部会にて審議され、マニュアルとして公表される予定です。
がん登録推進法の立法目的は、法律に基づき集められた質の高いがん登録情報の活用によって、がん対策の一層の充実に資することです。この意味において、最終目的は本シンポジウムのテーマである診療ガイドラインの普及と同じです。今後、診療ガイドライン自体のアウトカム評価にも、臓器別・療法別のがん登録データベースに加えて、院内がん登録情報や全国がん登録情報を十分に活用できるよう、国民や関係者の合意形成や必要な体制整備に向けて更なる取り組みが必要です。

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