演題抄録

ワークショップ

開催概要
開催回
第54回・2016年・横浜
 

血液がん患者に対する低強度運動療法の効果

演題番号 : WS84-4

[筆頭演者]
福島 卓矢:1,2 
[共同演者]
石井 瞬:1、中野 治郎:3、夏迫 歩美:1、坂本 淳哉:3、芦澤 和人:4、沖田 実:2

1:長崎大学・病院・リハビリテーション部、2:長崎大学・大学院医歯薬学総合研究科・医療科学専攻 リハビリテーション科学講座 運動障害リハビリテーション学分野、3:長崎大学・大学院医歯薬学総合研究科・保健学専攻 理学・作業療法学講座 理学療法学分野、4:長崎大学・病院・がん診療センター

 

【背景・目的】
化学療法や放射線療法といった保存療法を行うがん患者に対しては,中等度または高強度の運動療法が身体活動量や運動機能の改善に有用であると報告されており,本邦のガイドラインにおいても強く推奨されている.しかし,このような保存療法を行う血液がん患者の中には嘔気,抑うつ・不安,倦怠感などの症状を呈するケースが存在し,上記の中等度または高強度の運動療法を実践することは困難である.つまり,このようなケースに対しては低強度の運動療法を主体としたリハビリテーション(以下,リハ)介入が行われるが,その効果についてはこれまで明らかになっていない.本研究の目的は血液がん患者に対する低強度運動療法の効果を明らかにすることである.
【方法】
対象は2015年8月~2016年2月の期間に長崎大学病院に入院し,リハの処方依頼があった血液がん患者19名(平均年齢65.7±8.7歳,男性10名,女性9名)である.リハ介入はカルボーネン法により算出した上限心拍数の40%以下の負荷強度で,歩行・基本動作練習,筋力維持・増強練習を主体とした低強度運動療法を20~40分,週3~5回実施した.そして,リハ開始時と退院時で以下の評価項目を比較・検討した.具体的には,筋機能として骨格筋量(高精度筋量計),握力,膝伸展筋力,運動機能として10m歩行テスト,Timed Up and Go Test(TUG),ADLとしてPerformance Status(PS),Functional Independence Measure(FIM),倦怠感としてCancer Fatigue Scale(CFS),不安・抑うつとしてHospital Anxiety and Depression Scale(HADS),QOLとしてEORTC QLQ c-30の評価を行った.なお,統計学的解析には対応のあるt検定を適用し,危険率5%未満をもって有意差を判定した.
【結果】
リハ開始時と比較して退院時においては骨格筋量の有意な低下が認められたが,握力,膝伸展筋力といった筋機能や不安・抑うつは有意な変化は認められなかった.一方,10m歩行テスト,TUGといった運動機能やPS,FIMといったADL,倦怠感,QOLは有意な改善が認められた.
【結論】
血液がん患者に対する低強度運動療法は骨格筋量の維持・改善には効果はないものの,倦怠感といった身体症状を改善させることによって,筋出力の維持,運動機能やADLに好影響をおよぼし,その結果,QOLの向上に寄与できることが示唆された.ただ,本研究では対照群が設定できておらず,今回の結果が低強度運動療法の直接的効果とは断言できない.この点は本研究の限界であり,今後の検討課題である.

キーワード

臓器別:造血器・リンパ

手法別:リハビリテーション

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