演題抄録

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開催概要
開催回
第54回・2016年・横浜
 

保存療法を行うがん患者に対する低強度運動の効果―Performance Status別の検討―

演題番号 : WS84-3

[筆頭演者]
中野 治郎:1 
[共同演者]
石井 瞬:2、福島 卓矢:1,2、夏迫 歩美:2、鋤崎 利貴:2、芦澤 和人:3

1:長崎大学・大学院医歯薬学総合研究科・理学・作業療法学講座、2:長崎大学病院・リハビリテーション部、3:長崎大学病院・がん診療センター

 

【目的】
がん患者に対するリハビリテーション(以下,リハビリ)としては積極的な有酸素運動やレジスタンストレーニングが推奨されている。しかし,保存療法を行うがん患者では,倦怠感や食欲不振といった身体症状に加え,不安・抑うつなど精神症状が強く,積極的な運動は行えない。そのため,当院のリハビリでは保存療法を行うがん患者に対しては低強度運動を採用している。ただ,低強度運動は筋力トレーニングとしての効果は見込めないため,症状が軽度で運動機能が維持されている患者にも効果があるのか懸念が残る。そこで本研究では,保存療法を行うがん患者に対する低強度運動の効果をPerformance Status(以下,PS)別に検討した。
【方法】
対象は長崎大学病院で保存療法およびリハビリを行ったがん患者70名(64.8±16.2歳,男36名,女34名)とし,すべての対象に対して低強度運動を行った。低強度運動は,カルボーネン法により算出した上限心拍数の40%以下の負荷強度で,歩行を主体とした低強度運動療法を20~40分,週3~5回実施した。評価項目はPS,膝伸展筋力,10m歩行テスト,歩数,FIM,不安・抑うつ(HADS),倦怠感(CFS),QOL(EORTC QLQ-C30)とした。解析では対象をPS1,PS2,PS3の3群に分け,各項目を縦断的に比較し,QOLに関しては機能・症状スケール別に検討した。なお,今回は評価項目中に欠損値があったため,対応のあるt検定を用いて群内比較のみを行った。
【結果】
リハビリ開始時と退院時の各項目を比較すると,改善した項目は,PS1では歩数,FIM,倦怠感の4項目,また,PS2群では歩数,FIM,倦怠感,QOLの身体面と睡眠障害の5項目であった。一方,PS3では10m歩行テスト,歩数,FIM,倦怠感,QOLの身体面・睡眠障害・痛みの7項目が改善した。
【考察】
今回の結果,低強度運動は臥床時間が長いPS3の患者に対してより効果的であることが示された。また,運動機能がある程度維持できているPS1およびPS2の患者でもADL能力の改善を認めており,本来のリハビリの目的は果たしており,それは低強度運動が倦怠感を軽減したことによって身体活動量が増加したことに由来すると考える.ただ,QOLの観点から考えると,PS1の患者に関してはプログラムに検討を加える余地がある。

キーワード

臓器別:造血器・リンパ

手法別:リハビリテーション

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