演題抄録

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開催回
第54回・2016年・横浜
 

HBs抗原陰性 固形がん患者に対する化学療法後のHBV再活性化リスク: 単施設後方視的研究

演題番号 : WS83-4

[筆頭演者]
黒田 純子:1 
[共同演者]
竹本 将士:1、田代 雄祐:1、江崎 哲夫:1、楠本 茂:2、木村 和哲:1,3,4

1:名古屋市立大学・病院・薬剤部、2:名古屋市立大学・病院・血液腫瘍内科、3:名古屋市立大学・大学院薬学研究科病院薬剤学、4:名古屋市立大学・大学院医学研究科臨床薬剤学

 

【目的】がん化学療法後のB型肝炎ウイルス(HBV)再活性化は、HBs抗原陽性例だけでなく、HBs抗原陰性例からも発症することが報告されているが、その大半は造血器腫瘍例であり、固形がん患者におけるエビデンスは限られている。今回、HBs抗原陰性の固形がん患者におけるHBV再活性化について調査したので報告する。
【方法】2012年4月~2015年3月の3年間に、名古屋市立大学病院にて化学療法を施行した、治療前HBs抗原陰性の固形がん1,676例を対象とし、HBV再活性化について後方視的に調査した。HBV再活性化の定義は、HBs抗原陽性化あるいはHBV-DNA検出感度以上(2.1 log copies/mL以上、ただし、増幅シグナルのみ検出例は除く)とした。
【結果】治療前HBs抗原陰性1,676例中、HBc抗体陽性あるいはHBs抗体陽性は242例、両抗体とも未測定は581例であった。HBV再活性化は2例に認められ、以下に詳細を示す。症例1:63歳、男性。非小細胞肺がん。治療前はHBc抗体陽性、HBs抗体陰性、HBV-DNA未測定。初回治療レジメンはUFT療法。再活性化時のHBV-DNA量は2.7 log copies/mLで肝障害は認めず、抗ウイルス薬投与にてHBV-DNA量は検出感度未満となった。症例2:73歳、男性。非小細胞肺がん。治療前はHBc抗体陽性、HBs抗体陰性、HBV-DNA未測定。初回治療レジメンはPTX+CBDCA療法。再活性化時のHBV-DNA量は2.1 log copies/mLで肝障害は認めず、抗ウイルス薬投与にてHBV-DNA量は検出感度未満となった。
【考察】HBs抗原陰性の固形がん治療後のHBV再活性化例を認め、2例とも男性かつHBc抗体単独陽性例であった。HBV既往感染例(HBc抗体陽性or HBs抗体陽性)における固形がん治療後のHBV再活性化の頻度は、0.8%(242例中2例)であった。HBV既往感染歴を有する固形がん患者においても、HBV-DNAモニタリングを行うことで安全に化学療法が実施できた。

キーワード

臓器別:その他

手法別:化学療法

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