演題抄録

ワークショップ

開催概要
開催回
第54回・2016年・横浜
 

膵体尾部癌に対する尾側膵切除の治療成績

演題番号 : WS76-5

[筆頭演者]
今井 俊一:1 
[共同演者]
北郷 実:1、板野 理:1、篠田 昌宏:1、阿部 雄太:1、日比 泰造:1、八木 洋:1、北川 雄光:1

1:慶應義塾大学・医学部・一般・消化器外科

 

(はじめに)
膵体尾部癌は膵頭部癌と異なり黄疸などの臨床症状に乏しく、発見時には切除不能で診断されることが多いなど、尾側膵切除(DP)の対象となる膵体尾部癌は膵頭部癌と臨床的特徴が異なることが予想される。
(対象と方法)
当院で1995年1月から2015年4月の期間に切除を行った通常型膵癌220例のうち膵全摘10例を除く210例を対象とし、尾側膵切除施行例(DP群)とその他(Ct群)に分けて臨床病理学的因子・治療成績を比較した。DP群では各種臨床病理学的因子の死亡率への寄与を検討した。
(結果)
210例のうちDP群は75例(男:女 51:24,年齢69.2±8.6歳)、Ct群は135例(男:女 83:52,年齢66.4±8.2歳)でDP群のほうが高齢であった(p=0.019)。T因子(T1/T2/T3/T4)はDP群で10(13.3%)/5(6.7%)/20(26.7%)/40例(53.3%)、Ct群で5(3.7%)/6(4.4%)/81(60.0%)/43例(31.9%)であり、DP群でT1(p=0.022)およびT4(p=0.001)が多くT3(p<0.001)が少なかった。T因子の内訳としてDP群/Ct群でTS≧2 52(69.3%)/112(83.0%)(p=0.022)、PV+ 38(50.7%)/34(25.2%)(p<0.001)、A+ 12(16.0%)/2(1.5%)(p<0.001)、OO+ 5(6.7%)/1(0.7%)(p=0.023)とDP群は腫瘍径は小さく動門脈・周囲臓器浸潤を多く認めた。リンパ節転移はDP群45例(60.0%)に対してCt群100例(74.1%)とCt群に多く認めた(p=0.035)。DP群/Ct群でR0切除率は62(82.7%)/93(68.9%)(p=0.030)とDP群で高率であり、T4症例で32(80%)/18(41.9%)(p<0.001)と顕著であった。DP群の再発は45例(60.0%)に認め、再発様式は局所再発22例(29.3%)、肝転移16例(21.3%)、肺転移12例(16.0%)、腹膜播種17例(22.7%)であった。一方、Ct群の再発は79例(58.5%)に認め、再発形式は局所再発51例(37.8%)、肝転移38例(28.1%)、肺転移17例(12.6%)、腹膜播種31例(23.0%)であり、いずれも2群間で差を認めなかった。DP群の5年生存率は34.8%、Ct群は36.1%で両群間の2群間のOS(p=0.142)、DFS(p=0.494)に有意差は認めなかった。DP群において種々の因子別に生存率を単因子分析した結果S+/RP+/PV+/A+で有意差を認め、Coxの比例ハザードモデルによる多変量解析でS+(HR=2.9,95%CI 1.48-5.89,p=0.002)およびPV+(HR=3.176,95%CI 1.52-6.58,p=0.002)が独立した予後因子であった。
(考察)
尾側膵切除の対象となる膵体尾部癌は頭部側病変と比して容易に脈管浸潤をきたすがR0手術は高率に可能であり、局所進行例であっても切除により頭部側病変と同等の再発率・予後が得られる可能性が示された。

キーワード

臓器別:膵臓

手法別:手術療法

前へ戻る