演題抄録

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開催概要
開催回
第54回・2016年・横浜
 

切除可能膵癌術前化学放射線治療例における早期再発予測の可能性

演題番号 : WS76-4

[筆頭演者]
赤堀 宇広:1 
[共同演者]
庄 雅之:1、木下 正一:1、長井 美奈子:1

1:奈良県立医科大学・附属病院・消化器総合外科学

 

【目的】膵癌に対する外科的切除は根治のためには必須であるが,術後早期に再発し,切除の意義を認めることのできない症例が少なからず存在する.そのため,早期再発予測因子の同定は重要な臨床課題である.当科では切除可能膵癌に対し術前化学放射線治療(NACRT)を行ってきた.今回,NACRT施行例における早期再発に関連する因子を検討した.
【対象と方法】2008-14年にNACRT施行後に切除した膵癌101例を対象とした.術後6か月(M)以内の再発例を早期再発群,他を対照群とし, 各種臨床病理学的因子を比較した.
【結果】早期再発群は15例(14.9%), 対照群は86例(85.1%)であった.治療開始後の全生存率を比較すると,早期再発群の予後はMST:11.1Mであり,対照群の53.8Mに比し,極めて不良であった(P<0.001). 両群の臨床病理学的因子を比較した.早期再発群は,NACRT前及び後のCA19-9の値が各々有意に高値であった(NACRT前:732±1136 vs. 221±358U/ml,P=0.001, NACRT後:192±248 vs. 69±118U/ml,P=0.003). その他,年齢や病理学的効果等を含む各種臨床病理学的因子において差を認めなかった.また,初発再発部位は,早期再発群で肝8,肺4,局所0,腹膜4例であり,対照群の16,19,9,12例と比較すると,早期再発群において初発肝転移再発が多い傾向にあった.術前早期再発予測因子を検討した.NACRT前後のCA19-9のカットオフ値はROC曲線を用い,各々NACRT前:522 U/ml, NACRT後:72 U/mlに設定した.単変量解析では, NACRT前CA19-9値(OR=8.69, P<0.001)とNACRT後CA19-9値(OR=7.53, P<0.001)が有意なリスク因子であった.なお,NACRT前後でのCA19-9値の変化や50%低下率(前/後>1, 前/後≥2)と早期再発との間に関連は認なかった.多変量解析で,NACRT前CA19-9値(OR=4.22, P=0.038)とNACRT後CA19-9値(OR=4.11, P=0.048)が独立した早期再発リスク因子として同定された.各々のリスク因子数でのMSTは,2因子,1因子,因子なしの順に,27.0, 28.3, 62.6Mであり,リスク因子のあるものは,ないものに比して予後は不良であった.しかし,早期再発ハイリスク症例でも2年を超える予後が得られ,長期生存例も認められることから,切除非適応を予測することは困難であった.
【結語】集学的治療後でも早期再発例の予後は極めて不良であった.しかしながら,現時点では,切除非適応を含めた短期予後を予測することは困難であり,さらなる検討が必要であると思われた.

キーワード

臓器別:膵臓

手法別:集学的治療

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