演題抄録

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開催回
第54回・2016年・横浜
 

FOLFOXIRI+Bevが奏効した高齢者のBRAF変異陽性Stage Ⅳ大腸癌症例

演題番号 : WS52-5

[筆頭演者]
工藤 亮:1 
[共同演者]
西川 泰代:1、安 英男:1、川口 清貴:1、神頭 聡:1、濱洲 晋哉:1、小西 小百合:1、西躰 隆太:1、間中 大:1

1:社会福祉法人京都社会事業財団京都桂病院・外科

 

【はじめに】StageⅣ大腸癌の治療はFOLFOXやFOLFIRIといった2剤併用療法の逐次投与が主流であり、key drugである5-FU、オキサリプラチン、イリノテカンの3剤を全て使用することが予後延長に寄与するとされている。しかし、二次治療以降の治療が継続できず、3剤全てを使い切らないうちに積極的治療を終了する患者も多く存在することからFOLFOXIRIが開発された。現在では、より強力なFOLFOXIRI+Bev導入後に維持療法へ移行する新たな治療戦略の有用性が報告されている。今回、BRAF変異陽性StageⅣ大腸癌に対してFOLFOXIRI+Bevを導入し、忍容性を保ちつつ奏効を得た高齢者の1例について報告する。
【症例】78歳、女性(PS 0)。便潜血陽性の精査で、多数の大動脈周囲リンパ節転移を有するStageⅣ上行結腸癌と診断された。原発巣の制御目的に、まず腹腔鏡下右半結腸切除術を施行した。病理診断はmucinous adenocarcinoma, pT4 (SE), pN2 (13/14), cM1 (LYM)であった。術後経過は良好であった。BRAF V600E変異(All RAS wild)を認め、退院1か月後よりFOLFOXIRI+Bevを導入した。UGT1A1 *6ホモ型であったため、イリノテカンは100 mg/m2に減量した。1コース終了後、Grade4の好中球減少を認めたがFNは出現しなかった。2コース目からは5-FU、オキサリプラチンとも1段階減量したが、2コース目以降もGrade3の好中球減少を認めたため、3コース目以降はG-CSFを投与しながら3週毎で治療を継続しえた。効果判定のCTでは軽度縮小したもののSDであった。しかし腫瘍マーカーは著減し、PET-CTでFDGの異常集積は認めず、臨床的に奏効と判断された。現在まで9コースが終了し、好中球減少以外の有害事象はGrade1の末梢神経障害と口内炎のみで忍容性も保たれている。
【考察】大腸癌の薬物治療は分子標的薬の登場後、All RASやBRAFの変異測定を基にした個別化治療へと発展してきた。大腸癌でのBRAF変異の頻度は5-15%と少ないが、非常に予後不良である。FOLFOXIRI+BevはTRIBE試験で有用性を示されたが、国内での使用経験はいまだ少ない。高い奏効率や生存期間延長を示す反面、毒性の高いレジメンであるが、個々の症例に応じて工夫することで高齢者にも導入可能と考えられた。
【結語】BRAF変異陽性StageⅣ大腸癌へのFOLFOXIRI+Bev導入に成功した高齢者の1例を報告した。適応を慎重に判断しながら今後も症例を蓄積していきたい。

キーワード

臓器別:大腸・小腸

手法別:化学療法

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