演題抄録

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開催回
第54回・2016年・横浜
 

胃癌穿孔の2例

演題番号 : WS29-6

[筆頭演者]
出口 勝也:1 
[共同演者]
伊藤 忠雄:1、吉井 一博:1

1:洛和会丸太町病院・外科

 

【症例1】85歳、男性。10日前から腹痛、3日前から嘔吐を認めていたが、当日食後より腹部の激痛が出現し、当院救急受診となった。腹部は板状硬で、腹部CTで腹腔内に多量の遊離ガス像を認め、胃に不整形壁肥厚および菲薄部を認め、精査にて食道浸潤を伴う進行胃癌で、胃体上部小弯の穿孔と診断した。手術治療など侵襲的治療を希望されず、点滴、プロトンポンプインヒビター(PPI)、抗菌剤投与等の保存的治療を行ったところ、穿孔部は閉鎖し、食事可能な状態となった。第68病日退院となり、約4か月後、自宅で永眠された。【症例2】95歳、女性。2日前から食欲低下、1日前から著明な腹痛出現し、当日他院より紹介受診となった。腹部は板状硬で、腹部CTで肝周囲に遊離ガス像、腹水、胃前庭部壁肥厚および欠損部位、両側胸水を認め、精査にて前庭部前壁に進行胃癌を認め、同部の穿孔と診断した。手術治療など侵襲的治療を希望されず、点滴、PPI、抗菌剤投与、腹腔ドレナージ等保存的治療を行ったところ、穿孔部は閉鎖し、食事可能な状態となった。第58病日、他院へ転院となり穿孔6か月後現在生存中である。【考察】胃癌穿孔は、胃癌全体の1%と以下と稀な病態ではあるが、胃穿孔における胃癌が主因である割合は26~32%と比較的高率である。胃癌穿孔の治療においては、穿孔性腹膜炎からの救命と、胃癌の診断および根治性をもとめた一期的または二期的手術が原則となるが、全身状態・リスク・意向によっては、局所治療・保存的治療を行わざるをえない場合もある。今回、高齢・意向・リスク等で手術治療を選択されず、緩和医療も考慮した局所治療・保存的治療を行うことで自然閉鎖し、軽快した。胃癌穿孔は非穿孔胃癌と比較して予後不良とされ、非切除症例は癌の制御を行うことはできない。穿孔時手術適応がない状態であっても、全身状態の改善時には手術治療が可能となる場合や、局所治療・保存的治療による穿孔部位の閉鎖の可能性も念頭においた適切な全身管理や抗菌薬治療を行うことが重要であると同時に、患者および家族に配慮した緩和医療やインフォームドコンセントも重要であると考えられた。【結語】胃癌穿孔の保存的治療閉鎖症例を経験した。

キーワード

臓器別:胃・十二指腸

手法別:QOL

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