演題抄録

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開催回
第54回・2016年・横浜
 

重度の全身疾患を有する胃癌手術症例の治療成績

演題番号 : WS29-3

[筆頭演者]
杉沢 徳彦:1 
[共同演者]
武者 宏昭:1、田中 直樹:1、工藤 克昌:1、井本 博文:1、唐澤 秀明:1、青木 豪:1、大沼 忍:1、渡辺 和宏:1、長尾 宗紀:1、阿部 友哉:1、元井 冬彦:1、内藤 剛:1、海野 倫明:1

1:東北大学・消化器外科学

 

【はじめに】
外科治療において、併存する重度の全身疾患は術後合併症の危険因子と報告されている。このような全身疾患を有する症例では、根治性よりも安全性を重視するため、胃癌手術では郭清を手控えた縮小手術が考慮される。American society of anesthesia (ASA)によるPhysical status (PS)は、術前の全身疾患の評価に用いられており、3以上で重度の全身疾患を有する症例に該当する。今回、ASA-PSが3以上の胃癌手術症例の治療成績を明らかにする目的で以下の検討を行った。
【対象と方法】
2013年1月から2015年12月までの間に、原発性胃癌に対してR0手術を施行した161例を対象とした。ASA-PSが2以下のASA良好群(以下良好群)135例と3以上のASA不良群(以下不良群)26例に分類し、臨床病理学的因子について、後ろ向きに検討を行った。
【結果】
重度の全身疾患について、ASA-PSの3が22例、4が4例であり、臓器障害(重複あり)は心疾患17例、脳血管障害8例、肺疾患2例、慢性腎不全2例であった。年齢の中央値(範囲)は良好群で68(35-89)歳、不良群で75(55-88)歳と有意差を認めた(p=0.013)。手術術式は、良好群で胃全摘29例、胃切除106例、不良群では胃全摘3例、胃切除23例であった(p=0.296)。不良群の郭清度について、13例(50.0%)に縮小手術が行われた。Clavien-Dindo分類Grade II以上の術後合併症は、良好群の27例(20.0%)、不良群の9例(34.6%)に認められた(p=0.159)。術後在院日数の中央値(範囲)は、良好群で12(4-119)日、不良群で12(8-84)日であった(p=0,209)。病理診断について、良好群でStage IA/Bが81例(60.0%)、Stage IIA以上が54例(40.0%)、不良群ではStage IA/Bが16例(61.5%)、Stage IIA以上が10例(38.5%)であった(p=0.125)。術後化学療法は良好群の43例(31.9%)、不良群の3例(11.5%)に施行された。観察期間の中央値17.4ヶ月の間に、良好群で再発10例(7.4%)、原病死5例(3.7%)、他病死9例(6.7%)を認め、不良群では再発1例(3.8%)、原病死はなく、他病死5例(19.2%)を認めた。全生存期間について、ログランク検定にてp=0.181と両群間に有意差を認めなかった。
【結語】
ASA-PSが3以上の胃癌手術症例では縮小手術が行われることが多く、有意な術後合併症の増加や術後在院日数の延長を認めなかった。ASA不良群では他病死が多く、長期成績については更なる検討を行う予定である。

キーワード

臓器別:胃・十二指腸

手法別:手術療法

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