演題抄録

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開催回
第54回・2016年・横浜
 

胃癌患者における幽門側胃切除術後食道裂孔ヘルニアに関する検討

演題番号 : WS29-2

[筆頭演者]
村上 弘大:1 
[共同演者]
山本 和義:1、浜川 卓也:1、西川 和宏:1、平尾 素宏:1、前田 栄:1、植村 守:1、三宅 正和:1、濱 直樹:1、大宮 英康:1、宮本 敦史:1、池田 正孝:1、高見 康二:1、中森 正二:1、関本 貢嗣:1

1:独立行政法人国立病院機構大阪医療センター・外科

 

はじめに:胃癌手術後に食道裂孔ヘルニアを来す症例をしばしば経験する。食道裂孔ヘルニアは逆流性食道炎を発症しやすく、幽門側胃切除術を行う際には十二指腸液の残胃への逆流を防ぐという観点からBillroth-I法(以下B-1)よりもRoux-en-Y法(以下R-Y)を選択するケースが多い。胃癌術後食道裂孔ヘルニアが術後アウトカムに悪影響があるならば、食道裂孔ヘルニア修復術などの介入が可能ではないかと考え、今回幽門側胃切除術後の食道裂孔ヘルニアがアウトカムに与える影響について検討した。
方法と対象:当院で2009年から2013年の5年間で幽門側胃切除術を施行した267例のうち術後1年目で上部消化管内視鏡検査を受けた197例を再建方法毎に分け、術後ヘルニアの有無を調査した。さらに、食道裂孔ヘルニアの有無が術後の逆流性食道炎の発生率や体重変化率に及ぼす影響を検討した。
結果:検討した197例のうちB-1法が133例、R-Y法が64例であった。B-1法の症例では43例に術後食道裂孔ヘルニアを認め、うち14例(32.6%)で逆流性食道炎を来しており、90例中5例(5.6%)しか認めなかった術後食道裂孔ヘルニアなしの群に比べて有意に多かった(p<0.0001)。R-Y法を施行した症例は40例に術後食道裂孔ヘルニアを認め、逆流性食道炎の発生は8例(20.0%)であり有意差はなかったものの食道裂孔ヘルニアを認めた症例の方がより逆流性食道炎を来していた(20.0vs4.2% p=0.057)。逆流性食道炎は経口摂取不良の原因と考えられるが、術後1年での体重変化率はB-1群ヘルニア有vs無で-8.8%vs-9.7%(p=0.20)、R-Y群ヘルニア有vs無で-9.3%vs-7.3%(p=0.70)とヘルニアの有無では有意差を認めなかった。
おわりに:胃癌幽門側胃切除術後の食道裂孔ヘルニアは逆流性食道炎の発生に関連していたが、体重変化には影響がなかった。また、今回逆流性食道炎は内視鏡所見での評価のみであり、食道炎症状の出現やQOLに影響を及ぼしているかは明らかではない。幽門側胃切除術施行例における食道裂孔ヘルニアの影響に関してはさらなる検討が必要と考えられた。

キーワード

臓器別:胃・十二指腸

手法別:手術療法

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