演題抄録

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開催概要
開催回
第54回・2016年・横浜
 

脳腫瘍に対する全脳照射の個別化

演題番号 : WS14-2

[筆頭演者]
三浦 幸子:1 
[共同演者]
若井 展英:1、下田 絵美子:1、八巻 香織:1、井上 和也:1、森本 陽子:1、浅川 勇雄:1、玉本 哲郎:1、近藤 夏子:2、長谷川 正俊:1

1:奈良県立医科大学・放射線腫瘍医学講座、2:京都大学・原子炉実験所・粒子線腫瘍学研究センター

 

【背景・目的】多発性の転移性脳腫瘍、脳原発悪性リンパ腫、大脳神経膠腫症等には全脳照射(WBI)が行われることが多いが、強度変調放射線治療(IMRT)、定位放射線照射(STI)に代表される高精度放射線治療の発展に伴い、WBIのように広範囲の脳照射の治療計画においても、治療効果の増強や有害事象の軽減を目的とした個別化が可能となりつつあるので現状を明らかにする。【方法】当施設において3台のリニアックでIMRTを実施可能となった2014年以降、通常の左右対向2門とは異なるWBI類似の高精度放射線治療を計画した症例について、その方法と有用性について検討した。【結果】1)多発性脳腫瘍(脳転移、他):WBIとSTIの併用がしばしば試みられていたが、IMRTの発展、特に回転型IMRT(VMAT)の普及に伴い、WBI時に腫瘍部分に対する同時部分追加照射(SIB)が可能となった。さらにWBIの一部の線量減量も可能で、症例によっては、有害事象の軽減を目的として、海馬、テント下(後頭蓋)等の正常組織、臓器の線量を減量した計画もあった。2)照射歴のある脳腫瘍:STI後の脳壊死や脳浮腫が目立つ部分の線量を軽減したWBI(SIBの逆)、WBI後の再発腫瘍に対するホウ素中性子捕捉療法後の深部(線量不足部分)に対する部分照射等を行っていた。3)その他:大脳神経膠腫症の1例では、機能温存、有害事象軽減を目的として、画像上の変化が乏しかった左前頭葉の一部の照射線量を減量したIMRTでWBI類似の治療を実施していた。いずれも症例数が少なく、経過観察期間も限られていたが、急性期、亜急性期の有害事象は比較的軽微で、有意な治療効果の低下等は認めなかった。【結語】WBIのような広範囲の放射線治療においても、症例に応じた個別化を考慮することの有用性が一応示唆されたが、適用の決定には慎重な検討が必須であり、さらに多くの症例で長期的に治療効果、有害事象等を検討する必要がある。

キーワード

臓器別:脳神経

手法別:放射線治療

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