演題抄録

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開催回
第54回・2016年・横浜
 

10mm以下の直腸カルチノイド(NET-G1)に対する内視鏡的治療の有用性の検討

演題番号 : WS13-1

[筆頭演者]
松本 早代:1 
[共同演者]
岡本 耕一:1、六車 直樹:1、中川 忠彦:1、関 崚太:1、武原 正典:1、影本 開三:1、高岡 慶史:1、岡崎 潤:1、藤本 大策:1、木村 哲夫:1、北村 晋志:1、宮本 弘志:1、岡久 稔也:1、高山 哲治:1

1:徳島大学・大学院ヘルスバイオサイエンス研究部・消化器内科

 

【目的】直腸カルチノイド(NET-G1)は比較的まれな疾患であるが、微小病変でも後に転移再発をきたすことがあり、診断、治療方針について判断に迷う症例が少なからず存在する。現在、腫瘍径10mm以下の病変に関しては内視鏡的治療が推奨され、従来のEMRに加えて近年ではESDも行われるようになってきた。今回、我々は当院にて内視鏡的切除された直腸カルチノイドの症例に関してretrospectiveに解析し、その治療法の妥当性を検討した。
【対象と方法】2006年から2015年4月の間に大腸内視鏡検査で直腸カルチノイド(2010年以降はWHO分類のNET-G1)が疑われ、内視鏡治療を施行した病変は23病変で、EMR4例、ESD2例、EMR-Lが17例であった。内視鏡治療の適応は、1)病変サイズが10mm以下、2)表面が平滑で陥凹を伴わない、3)EUSで固有筋層への浸潤を認めない、4)遠隔転移が否定されている病変とした。側方断端および深部断端ともに陰性を一括切除と判定し、ly因子あるいはv因子のいずれかが陽性の場合を脈管侵襲陽性とした。
【結果】内視鏡的に切除された23病変の大きさは2~10mm(中央値=5.9mm)で、全例が病理学的に粘膜下層までの主座を呈していた。一括切除率は95.7%(22/23)であり、脈管侵襲陽性率は43.5%(10/23)であった(2例はly、vともに陽性)。断端陽性あるいは脈管侵襲陽性の10例中2例に追加手術を施行したが、2例ともリンパ節転移を認めなかった。
【考察】治療適応を遵守すれば内視鏡切除法の種類によらず直腸カルチノイドの経過は良好と考えられる。10mm以下でsmまでの直腸カルチノイドに関しては、遠隔転移がなければ局所切除をまず行い、病理組織学的に切除断端、脈管侵襲、核分裂像などを評価したあとに、追加切除を検討することが望ましい。ただし、これらの因子によるリンパ節転移率の明確なデータは存在せず、追加切除の適応は慎重に決定すべきである。また、内視鏡的に完全切除された症例は経過観察が甘くなる傾向があり、決して油断できない疾患であるという点を再認識し、CT検査を含め慎重に経過観察する必要がある。

キーワード

臓器別:NET(神経内分泌腫瘍)

手法別:内視鏡治療

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