演題抄録

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開催回
第54回・2016年・横浜
 

地域がん登録データを用いた腟癌481例の疫学的・臨床的解析

演題番号 : WS100-3

[筆頭演者]
八木 麻未:1 
[共同演者]
上田 豊:1、角田 守:1、田中 佑典:1、高田 友美:1、松崎 慎哉:1、小林 栄仁:1、吉野 潔:1、福井 敬祐:2、伊藤 ゆり:2、中山 富雄:2、木村 正:1

1:大阪大学・大学院医学系研究科・産科学婦人科学、2:地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立成人病センター・がん予防情報センター

 

【目的】腟癌は高齢者に多いとされ、症例に応じて放射線療法や手術療法が行われている。日常臨床では増加している印象があるものの、発生頻度自体が低く、これまで少数例の解析が中心であったために、罹患率や生存率の変化などに関する十分な解析がなされてこなかった。当研究は腟癌のこれら動向を解析することを目的とした。
【方法】1976~2010年の大阪府の地域がん登録データを利用して、膣癌の発生数・年齢調整罹患率・相対生存率、その他様々な臨床病理学的特徴を解析した。解析にはSTATA MP 13を用いた。
【成績】1976~2010年で481例が登録されていた。大阪府における腟癌の発生数は増加している(1976~1980年:42例、1981~1985年:59例、1986~1990年:55例、1991~1995年:85例、1996~2000年:82例、2001~2005年:76例、2006~2010年:82例)が、年齢調整罹患率(1985年モデル人口100万対)は一貫して有意に減少していた(APC=-1.29、95%CI : -0.3~-2.2)。この間、限局・リンパ節転移・隣接転移・遠隔転移の分布に著明な変化は認められなかった。1976~2000年に比して2001~2008年では、主治療が放射線である割合は47.0%から55.7%に増加していたが、主治療が手術である割合は36.1%から15.7%に有意に減少していた(p=0.002)。10年相対生存率は主治療が手術の群(90例)と放射線の群(142例)では予後に有意差は認めなかった(p=0.98)。1976~2000年と2001~2008年では10年相対生存率はそれぞれ27%(21~35%)と34%(19~50%)と有意な改善は認めなかった(p=0.83)。また、非扁平上皮癌(92例)は扁平上皮癌(211例)より有意に予後が不良であった(p=0.005)。1976~2000年に比し、2001~2008年では5年生存者のその後の5年相対生存率(サバイバー生存率)は若干の改善傾向が認められた。
【結論】膣癌の症例数は増加しているが、年齢調整罹患率は一貫して減少していることから、症例数の増加は高齢化によるものと類推された。腟癌の主治療は手術から放射線等へ変化しているが、有意な予後の改善には至っていない。また、治療法選択のバイアスは存在するが、手術と放射線が同等の治療効果を有する可能性が示唆された。今後、高齢化に伴いさらに症例数が増加するものと考えられ、より効果的な治療法の確立が求められる。また、サバイバー生存率の若干の改善傾向は、初回治療の変化や今回解析できていない再発時の治療の改善による可能性が考えられた。

キーワード

臓器別:子宮

手法別:疫学・予防

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