演題抄録

シンポジウム

開催概要
開催回
第54回・2016年・横浜
 

AYA世代には、この世代に適した臨床試験による標準治療決定が望まれます

演題番号 : S5-2

[筆頭演者]
石田 裕二:1 

1:静岡県立静岡がんセンター・小児科

 

AYA(Adolescent and Young Adult)世代は、15-29歳程度の年齢を対象が想定されている。疫学的には、日本での小児がん2500-3000名程度の新規発生に対して、15-29歳の推定癌罹患数は、5000名程度と見込まれている。生物学的な特徴は多様性に有る。発生臓器も多岐にわたり。成人がんに多い上皮性腫瘍や小児期に多い中胚葉性由来の腫瘍が混在する。①小児がんの晩期発生のような腫瘍②成人癌の若年発症のような腫瘍③この世代独特の発症様式とおもわれる腫瘍がある。
病因論に関する研究として、古典的な診断カテゴリーの中で、分子生物学的分類によりAYA世代の腫瘍の特徴を示す情報が提供されている。白血病では、小児から成人まで、幅広くは発症する急性リンパ球性白血病において(ALL)、AYA-ALLに出現する遺伝子転座(DUX4遺伝子)の発見がある。固形腫瘍でも、髄芽腫における、分子生物学的細分類において、乳児・幼児・AYA/成人での、病型の発症率の違いなどが示されている。
癌薬物療法の標準治療は、対象とする集団の特性に最適化された治療が標準治療となる。成人がんでは、AYA世代より年令の高い集団の特性から標準治療が、決定されている。小児がんでも、年少児の集団的特徴が標準治療に反映される傾向がある。標準治療開発で重要な容量規定毒性は、年令の影響を受ける可能性がある。AYA世代の適切な治療としては、A)小児型の強度の高い化学療法を適応し治療成績の改善することが期待される集団とこれらの改善が認められない集団 B)小児がんで使用されていない薬物療法(特に新規薬剤)により成績の改善が期待される集団 C)新たな治療開発望まれる集団等に整理できるかも知れない。実臨床においては、成人型治療を実施する際には、まれな症例として治療を実施され、小児型治療を実施する場合にも、希な小児がんとして治療されている実態がある。実臨床での治療は、年令集団による薬物の容量規定毒性を考慮し、適切な薬剤の強度を設定し、成人でのエビデンスの有る薬剤の適切な使用、成長発達、2次がんへの配慮、保健診療上の適応などの医療制度上の問題などを考慮して治療方針を決定するが、エビデンスが希薄で適切な判断材料が少ない。AYA世代腫瘍の病態解明、適切な標準治療開発の為にも、この世代を対象とした適切な臨床試験(治験)が望まれる。

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