演題抄録

シンポジウム

開催概要
開催回
第54回・2016年・横浜
 

がん専門薬剤師

演題番号 : S3-4

[筆頭演者]
濱 敏弘:1 

1:公益財団法人がん研究会有明病院・薬剤部

 

安心安全で効果的な薬物療法を実施するために薬剤師に期待される役割は大きい。かつては処方せんによる調剤主体であった病院薬剤師業務は、入院患者を対象とした服薬指導業務にシフトしてきた。即ち、病棟に薬剤師を配置し、入院時から退院時まで服薬指導、副作用モニタリングなどの薬学的ケアを展開してきた。しかし、がん化学療法の変化により、がん化学療法患者に対しては、このような体制では十分なマネジメントができなくなってきた。
それは、外来化学療法の増加と、経口抗がん薬の増加である。外来化学療法は、医療者にとっては入院時と異なり化学療法後の患者状態の把握が難しくなり、副作用の早期自己対応に対する指導の重要性も増した。また、経口抗がん薬の治療効果判定には、注射薬と異なり、確実な服薬状況の確認が必要となった。
当院では2007年から、在宅時の患者状況を効率よく把握し、医師と情報共有することを目的として、薬剤師が医師の診療前に患者と面談する薬剤師外来を一部の診療科から開始し順次拡大を図ってきた。このような取り組みは、他施設でも実施されるようになり、平成26年度診療報酬の改訂において「がん患者指導管理料Ⅲ」が新設され、その有用性が評価された。外来患者への指導が診療報酬算定できるようになったことから、さらに多くの施設で開始されるようになった。しかし、さらなる拡大には課題も多い。
算定に当たっては、がんの専門的なスキルを身につけた薬剤師との要件があり、具体的には、日本医療薬学会認定がん専門薬剤師、日本病院薬剤師会認定がん薬物療法認定薬剤師、日本臨床腫瘍薬学会認定外来がん治療認定薬剤師の有資格者が算定可能としている。
それぞれの認定制度の詳細は省略するが、がん専門薬剤師を取得するためには専門医制度と同様に研修施設においてがん指導薬剤師の下で5年間の研修が必要であり、またがん薬物療法認定薬剤師の取得にも、研修施設で3か月間の実務研修が求められている。研修施設でない施設の薬剤師にとって、他施設での長期研修は大きなハードルである。また、指導者不足と指導者のいる研修施設が地域により偏在していることもハードルを高くしている原因となっている。がん化学療法に精通した専門性の高い薬剤師養成のためには、まず指導者の養成と研修施設の拡充が大きな課題である。

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