演題抄録

シンポジウム

開催概要
開催回
第54回・2016年・横浜
 

がん看護における現場の課題と人材育成

演題番号 : S3-3

[筆頭演者]
清水 奈緒美:1 

1:地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立がんセンター・患者支援センター

 

がん医療の現場は急激な変化の最中にあり、この変化は当面の間、加速していくことが推測される。主なものは、1.がん罹患者数の増加(特に高齢がん患者の増加)、2.地域医療連携の加速化、3.がんサバイバーの増加である。
このことをうけて、看護師にどのような役割が求められているのか、課題を含めて現場の状況を整理してみたい。
1.がん罹患者数の増加
2015年の推計では、がん罹患者数は1985年の2倍となっている。現場では、患者数の増加や検査・治療の進歩を背景に入院期間の短縮化が進み、平成17年頃を境に医療の場が外来に大きくシフトした。これらによって、看護師は限られた機会と期間に、支援の必要性を判断し、個人にあった方法で看護を提供する必要が生じている。
さらに、2011年のデータで75歳以上のがん罹者数は全体の40.8%に達しており、高齢者の特性を踏まえた意思決定支援や疾患(認知症、脳血管疾患、心疾患など)に対するケアのスキルも求められる状況にある。
2.地域医療連携の加速化
医療資源を有効に活用して、複数の医療機関で患者を支える地域医療構想の検討が進んでいる。現在も、がんの治療後のリハビリテーションや終末期の受診先を、がん治療を受けた病院以外に移すケースは増加し、訪問看護や訪問診療との連携も増えている。がん治療病院の看護師には、これらに関連した意思決定支援や患者の情報をシームレスにつなぐというスキルの向上が必要とされている。また、これまでがん患者の療養を担当する割合が少なかった病院や施設においては、がん患者に特有の問題への対応を迫られるようになっており、ケアの質の均てん化という課題も生じている。
3.がんサバイバーの増加
治療の進化により、長期に生存するがん患者が増加している。がんサバイバーとして病気と折り合い充実した生活をしていくためには、情報支援や心理的な支援を必要とする。この支援について看護師に期待される役割は大きい。
以上のような課題の解決には、個々の看護師への教育機会の提供というアプローチと併せて仕組みの検討が必要と感じている。
ここでは、これらの課題の解決にむけて、がん看護のスペシャリストであるがん看護専門看護師やがん分野の認定看護師の活用と、当院が院内や地域で取り組んでいる研修等の現状を紹介しながら、将来に向けた人材育成について話題提供したい。

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