演題抄録

がん診療ガイドライン統括・連絡委員会主催 シンポジウム

開催概要
開催回
第54回・2016年・横浜
 

若年がん患者の妊孕性温存に関するガイドラインの作成状況

演題番号 : S23-11

[筆頭演者]
青木 大輔:1 
[共同演者]
鈴木 直:2

1:慶應義塾大学・医学部・産婦人科、2:聖マリアンナ医科大学・大学院医学研究科・産婦人科

 

近年、がん患者に対する集学的治療法の進歩に伴ってその治療成績は目覚ましく向上し、がんを克服したがんサバイバーが増加している。特に、若年がん患者のサバイバーシップ向上を目指して行われる、配偶子や性腺を体外に摘出してがん治療開始前に凍結保存する妊孕性温存療法が注目されている。しかしながら、これら若年がん患者に対しては原疾患の治療が最優先であり、その治療が遅れることなく遂行されることが大原則であり、がんの種類や進行状況によっては若年がん患者が将来の妊娠・出産をあきらめざるを得ない状況も少なくない。そのため、がん治療医と産婦人科医の密な医療連携が重要で有り、若年がん患者に対する妊孕性温存療法に関するガイドラインが必要となる。2006年に、米国臨床腫瘍学会(American Society of Clinical Oncology: ASCO)は米国生殖医学会(American Society for Reproductive Medicine: ASRM)との共同で、若年がん患者の妊孕性温存に関する世界初のガイドラインを発表し、2013年には改訂版が報告されている。一方、2007年にドイツ語圏を中心としたFertiPROTEKTが設立され、2011年に若年がん患者に対する妊孕性温存治療に関するFertiPROTEKTガイドラインが発表された。さらに2007年には、卵巣組織凍結・移植による世界初の生児獲得に成功したベルギーのDonnezらによってISFP(International Society for Fertility Preservation)が設立され、一部のがん疾患に対する妊孕性温存の指針が示されている。本邦においては、若年がん患者に対する妊孕性温存療法に関するガイドラインはこれまで存在していない。
そこで、日本癌治療学会は2015年11月に「小児思春期、若年がん患者の妊孕性温存に関するガイドライン」の作成に着手している。本ガイドラインは、8領域(婦人科、乳腺、血液、小児、男性、骨軟部、脳、消化器)のグループに分けられ、それぞれのグループには生殖を専門とする委員を配し、現在日本医学図書館協会と各CQ担当者による文献検索が行われている。そして本年11月の第54回日本癌治療学会学術集会において、コンセンサスミーティングを開催するる予定になっている。

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