演題抄録

がん診療ガイドライン統括・連絡委員会主催 シンポジウム

開催概要
開催回
第54回・2016年・横浜
 

皮膚悪性腫瘍ガイドライン

演題番号 : S23-9

[筆頭演者]
菅谷 誠:1 

1:東京大学・大学院医学系研究科・皮膚科

 

日本皮膚科学会では、皮膚を病変の主座とするリンパ腫を扱った皮膚リンパ腫診療ガイドライン2011年改訂版(完全版)、メラノーマ、有棘細胞癌、基底細胞癌、乳病外パジェット病を扱った皮膚悪性腫瘍診療ガイドライン第2版、および頭部血管肉腫診療ガイドラインを会員向けおよび一般に公開している。皮膚リンパ腫診療ガイドラインは2012年の夏に公開されているが、約1年後の2013年8月の日本皮膚悪性腫瘍学会年次大会で参加者を対象にアンケート調査をしたところ、半数以上が「一通り読んだ」と回答していた。「部分的に読んだ」、「診療に必要な部分のみ読んだ」も合わせると約90%がガイドラインを読んでおり、皮膚悪性腫瘍の診療に携わる医師に浸透していると考えられた。また患者への説明には70%が使用している、と回答していた。治療計画などの立案には「有用」との回答が70%、「やや有用」と合わせると90%を越えており、実際の診療に役だっていると考えられたが、予後の改善や患者の治療満足度やQOLといったアウトカムについては検証ができていない。
皮膚がんの登録制度については、日本皮膚悪性腫瘍学会の皮膚がん予後統計調査委員会が中心となって2007年からメラノーマ、皮膚リンパ腫の症例登録を行っている。前者は主要26施設を対象に年間300~350例、後者は約650施設を対象に年間370~400例の症例が集積されている。集計結果は学会HPにPDF掲載および学会で年次報告しており、数年毎に論文報告をしている。問題点としては、 希少がん故にビッグデータを集めることが難しい、病理・病型分類が多くて診断に苦慮する、早期皮膚がんは完全治癒が望めるために疾患特異的死亡や治療関連死亡などの前向き調査の対象になりにくい、データ入力のインセンティブがない、高齢の症例が多いため疾患特異的生存率を算出しにくい、関連学会の資金不足・がん治療人員不足、などが挙げられる。皮膚がん診療拠点間の連携による現行の登録制度は高い精度を保っており、欧米のデータと比べても遜色はない。NCDへの直接参加ではなく、現行の学会主導登録制度で得られたデータをNCD、全国がん登録に提供する方針を考えている。

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