演題抄録

がん診療ガイドライン統括・連絡委員会主催 シンポジウム

開催概要
開催回
第54回・2016年・横浜
 

胆道癌診療ガイドラインと胆道癌登録との連携 アウトカムの検証

演題番号 : S23-7

[筆頭演者]
吉富 秀幸:1 
[共同演者]
宮崎 勝:1,2

1:千葉大学・大学院医学研究院・臓器制御外科学、2:国際医療福祉大学・三田病院

 

診療ガイドラインは多くの疾患において整理され、医療の均霑化に大きな役割を果たしてきた。これをより有用なものにしていくには、最新のエビデンスを取り込みアップデートすることが医療の質を担保する上でも非常に重要である。加えて、ガイドラインが示している医療行為が実際の臨床現場で採用されているのか、そしてそれによる効果があるのかを検証することは、よりよいガイドラインの作成に欠かすことが出来ない。
胆道癌診療ガイドラインも2014年には第2版が発刊され、広く有効活用されている。英語版も発刊され、本ガイドラインは世界的に見ても胆道癌全体をカバーしている唯一のガイドラインである。そこで、我々はこれらのガイドライン記載内容について胆道癌登録を利用して、その実施状況を検証した。
胆道癌登録は1988年に開始され、現在、ガイドライン同様、日本肝胆膵外科学会がその運営を行っている。本学会評議員所属の約670施設から登録が行われており、これまでの累計登録数は40,000例をこえており、胆道癌に絞った癌登録としては他に類を見ないデータベースとなっている。加えて、追跡可能率も77.0%と高く、そのデータの信頼性も高い。そこで、ガイドライン記載事項の遵守率の把握のため、2012・2013年度症例に対する調査委の際、以下の項目をクオリティーインディケーターとして、胆道癌登録の調査事項に加えて調査を行った。
① 胆道ドレナージ前にMulti-detector CT (MDCT)を施行する
② 60%以上肝切除を伴う胆道癌症例に術前門脈塞栓術を行う
③ 肝門部・上部胆管癌に対する外科切除の際、尾状葉合併切除を行う
④ 胆嚢摘出後にss以深胆嚢癌が判明した場合に追加切除を行う
その結果、それぞれの項目の遵守率は①82.0% ②84.5% ③83.5% ④98.9%とすべてで80%以上とほとんどの施設でガイドライン推奨治療が行われていた。
しかし、胆道癌登録は専門性の高い外科系施設が中心で有り、その症例が偏っている可能性がある事、経年的な変化の観察が現時点ではできていない事といった問題点がある。
今後の課題として、内科系施設からの登録を他学会やNCDとの連携により増やすことで、より日常診療に近い症例分布の中での解析が必要となる。また、このような検査を継続的に行う事で、経年的な変化を観察していく必要がある。そして、このような結果をエビデンスとしてまとめ、ガイドラインや癌取扱い規約の改定に結びつけていく必要性がある。

前へ戻る