演題抄録

シンポジウム

開催概要
開催回
第54回・2016年・横浜
 

福島県立医大における標的RI治療の実施と新規治療の開発

演題番号 : S18-3

[筆頭演者]
織内 昇:1 
[共同演者]
富永 英之:1、粟生木 美穂:1、趙 松吉:1、久保 均:1、竹之下 誠一:1、稲野 彰洋:2、南川 一夫:2

1:福島県立医科大学・先端臨床研究センター、2:福島県立医科大学・医療研究推進センター

 

わが国の内用療法は、病床数(放射線治療病床)の不足から入院の必要な131Iによる甲状腺がんの治療が平均で半年待ちとなっており、放射線治療病床の増加は喫緊の課題である。福島県立医科大学は今年度にオープン予定の新病棟に、最大37 GBqまでの投与が可能な病床を含む9床のRI治療病床を稼働させる。
悪性褐色細胞腫・神経芽細胞腫に対する131I-MIBGによる治療や神経内分泌腫瘍に対する177Lu(90Y)標識ソマトスタチン受容体アナログによる治療は、国内未承認であり、後者では特に治療を受けるために渡航する患者が少なくない。このような現状の中で、政府は医薬品の創出に重点を置いた医療分野の研究開発を推進しており、「がん研究10か年戦略」に基づく患者や社会のニーズに合ったがん研究を推進している。
福島県立医科大学に設立された先端臨床研究センターは、サイクロトロンで製造した放射性核種を薬剤合成して非臨床試験、臨床試験・治験を行い、新しい診断・治療薬を開発する。GMP基準で薬剤を合成し、動物実験を行う部署には小動物用のPET/SPECT/CTなどの機器が装備され、信頼性基準下で薬効薬理試験を行なう。臨床試験も同一施設で行い、スピード感のある開発を可能とする体制で、実用化を目指した研究を推進しようとしている。
当センターには、多くの病院と同様の小型サイクロトロンのほかに、30 MeVまでの加速が可能な中型サイクロトロンがあり、11C、15O、18Fなどに加えて、内用療法に用いる前述の177Luをはじめとするβ線核種やα線核種の211Atなども製造可能である。これらの核種を標識した治療薬の開発と同時に、治療の適応判断や経過観察に用いるPET画像マーカーとして診断用核種の標識薬開発も行う。
α線核種の臨床応用については、症候性で骨転移のある前立腺がんの治療薬として塩化ラジウム(223Ra)の製造販売が承認された。223Raは海外の多施設共同第3相試験によると、プラセボに対して、全生存期間や骨関連事象発現までの期間を有意に延長しており、有用性が注目されている。国内でも211Atの研究が進められ、臨床化を目指す施設整備が検討されている。
本シンポジウムでは、福島県立医科大学にオープンするRI治療病棟ならびに標的RI治療の研究開発を担う先端臨床研究センターの概要と取り組みについて紹介する。

前へ戻る