演題抄録

シンポジウム

開催概要
開催回
第54回・2016年・横浜
 

わが国におけるRI内用療法の現状と将来

演題番号 : S18-1

[筆頭演者]
絹谷 清剛:1 

1:金沢大学・大学院医学系研究科・核医学

 

RI内用療法(内照射療法)は、がん細胞・組織に発現する分子を標的とした治療である。近年diagnosticsとtherapeuticsの複合造語であるtheranosticsという用語が広く用いられている。この概念は、画像診断のみならず種々のomics情報や、ありとあらゆる診断が包括されたものであるが、内用療法は、画像化できる点においてまさにtheranosticsである。国内では、甲状腺分化癌の放射性ヨウ素I-131、B細胞性悪性リンパ腫のY-90ゼバリン®、骨転移性疼痛除去のSr-89メタストロン®が以前から用いられていたが、新たに去勢抵抗性前立腺癌骨転移に対するRa-223ゾーフィゴ®が承認された。また、悪性褐色細胞腫に対するI-131 MIBG治療は将来の承認を目指して、先進医療Bとして国内数施設で実施中である.小児神経芽腫I-131 MIBG治療も、先進医療として実施すべく準備中である。さらに、神経内分泌腫瘍に対するLu-177標識ペプチドによる内用療法(peptide receptor radionuclide therapy: PRRT)が実施間近の状態にある。海外ではLu-177 PSMAによる前立腺癌治療が注目をあびているが、近い将来国内導入されることと推測する。
諸外国の新規内用療法開発の進展に比べれば、わが国の動きは遅々としているものの広がりを見せ始めてきた。これは、世界的な内用療法への注目度増加にともない国内学会や研究機関に同様の流れがでてきたこと、海外の有望製剤に国内製薬メーカーが注目していること、患者ニーズとそれを背景にした学会活動への行政の理解が高まっていることなどによる。
昨年、衆議院国会において内用療法に関わる主意書が提出された。一点は内用療法に関わる規制緩和要望、もう一点は内用療法推進・普及を政府として積極的に取り組むべきであるとの趣旨であった。安倍総理の回答は、いずれも肯定的なものであった。規制緩和は本年3月31日に医政局長通知ですでに実施された。推進・普及に関しては、がん対策に関わる種々の国策に内用療法を明記していただくべくロビー活動を行っている。本年5月に厚労省で開催された第5回がん診療提供体制のあり方に関する検討会において、議論すべきこととして始めて"放射性医薬品の内用療法"という文言が明記された。現在、アカデミア、メーカー、患者等からなる国民会議の構想が進行しており、一層の活動を行う予定である。この強化には、日本癌治療学会の諸先生のご理解が必須で有り、皆さんのご助力をお願いしたい。

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