演題抄録

シンポジウム

開催概要
開催回
第54回・2016年・横浜
 

全国がん登録とクラウド

演題番号 : S13-4

[筆頭演者]
柴田 亜希子:1 
[共同演者]
西本 寛:1

1:国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センター・がん登録センター

 

「全国がん登録」とは、2013年12月に成立し、2016年1月から施行されている「がん登録等の推進に関する法律(がん登録推進法)」で定められた、国及び都道府県による利用及び提供の用に供するため、国が国内におけるがんの罹患、診療、転帰等に関する情報をデータベースに記録し、保存する事業を指す。全国がん登録データベースには、罹患数単位で数えて年間で少なくとも85万件を超える情報が登録され、100年間実名で保存される。
全国がん登録データベースシステムの本体構造は、病院等からの届出を受け付ける都道府県がん登録室と国の登録室をシンクライアント環境で運用するクライアント・サーバシステムで構築された。がん登録推進法では、全国約8,500のすべての病院と、申請に基づき都道府県知事が指定する約2-3万と推計されるがんの患者を診療する診療所の管理者に届出義務が課せられている。現在、病院等から都道府県がん登録室に届出情報を送達するための全国共通システムを開発中で、このシステムでは、国立がん研究センターが管理するクラウドサービスのデータセンターを介在する運用が予定されている。
がん登録推進法では、がん登録及びがん診療情報の収集に係るがんに罹患した者に関する情報は、厳格に保護されなければならない(基本理念 3条5項)、それを管理する者は、その漏えい、減失及び毀損の防止その他の適切な管理のために必要な措置を講じなければならない(25条)と定められているため、法施行開始直後は、ネットワークについて保守的な構築と運用を意識的に行っている。また、全国がん登録情報の提供を受ける者にも、利用できる情報の制限、利用期限、適切な管理措置が求められている。一方で、同法は、がん対策の充実のために、全国がん登録のほか、院内がん登録及びその他のがんの診療に関する詳細な情報の収集を図り、民間も含めたがんに係る調査研究のために十分に活用されなければならない(基本理念 3条3項及び4項)、と定めている。情報の適切な管理と十分な活用の両立のために、従来の物理的な情報提供だけでなく、情報の提供を受ける権利を持つ者だけを認証する、許可された情報だけにアクセス権を与える、基本的な分析用アプリケーションをネットワーク環境で提供する、等のクラウドコンピューティングの活用を検討している。

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