演題抄録

シンポジウム

開催概要
開催回
第54回・2016年・横浜
 

小児がんにおける治療開発

演題番号 : S11-2

[筆頭演者]
小川 千登世:1 

1:国立研究開発法人国立がん研究センター中央病院・小児腫瘍科

 

「がんの統計'13」では、国内のがん(悪性腫瘍)の罹患数は2008年で約75万人で、このうち20歳未満の小児は2615人(0.34%)と報告されている。小児悪性腫瘍の内訳は約半数を白血病や悪性リンパ腫をはじめとする造血器腫瘍が占めており、白血病は40.2%、悪性リンパ腫は8.7%であった。脳・脊髄腫瘍は15.4%、その他の悪性固形腫瘍は35.7%である。小児の悪性固形腫瘍には成人のがんの発生臓器と同様、ほぼ全身の臓器由来の悪性腫瘍が含まれ、主として胎児性腫瘍や肉腫に大別されるものの、その組織型は多彩で、個々の疾患の罹患数は、ほとんどが年間100例未満、多くが年50例未満である。同様に、脳腫瘍においても多種の組織型が含まれており、個々の組織型で年100例以上の罹患数の組織型はない。
小児悪性腫瘍においても、薬剤開発は原則として「『抗悪性腫瘍薬の臨床評価方法に関するガイドライン』の改訂について」(平成17年11月1日付け薬食審査発第1101001号、以下、「抗悪ガイドライン」)および「小児集団における医薬品の臨床試験に関するガイダンスについて」(平成12年12月15日付け医薬審第1334号、以下、「小児ガイダンス」)にしたがい実施されるべきである。しかし、例えば年間の総患者数が50例未満の疾患群においては、片群100例を超える第III相試験の実施には、対象症例の全例が試験に参加すると仮定しても、症例集積だけで4年以上を要する。解決する方策の一つには、海外との同時開発、国際共同試験での開発等があるが、既に海外開発が終了した薬剤等では国内のみでの開発とならざるを得ない。が、致死的でありながら、極めて希少な疾患である小児悪性腫瘍における臨床開発は喫緊の課題であるにもかかわらず、長年にわたり、小児悪性腫瘍に対する欧米の標準治療薬剤の国内開発は行われてこなかった。
このような状況を鑑み、H27年9月に「抗悪ガイドライン」および「小児ガイダンス」を補完する位置付けとして発出された「小児悪性腫瘍における抗悪性腫瘍薬の臨床評価方法に関するガイダンス」には、小児悪性腫瘍に対する臨床開発のための臨床試験の基本的考え方が示されており、その特性に配慮した臨床評価方法を定めることにより、適正かつ効率的な抗悪性腫瘍剤の開発と導入につながることが期待される。小児の悪性腫瘍を成人にも同病名のある疾患と、小児・AYA世代に特有の疾患に分類し、治療開発の方策につき議論する場を持ちたいと考える。

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