演題抄録

シンポジウム

開催概要
開催回
第54回・2016年・横浜
 

在宅医療の現場からの要望

演題番号 : S1-6

[筆頭演者]
白髭 豊:1 

1:白髭内科医院

 

2003年、自宅療養を希望する患者に在宅主治医・副主治医を紹介する長崎在宅Dr.ネットが誕生した。2008年度から3年間、緩和ケア普及のための地域プロジェクト(OPTIM)が行われた。長崎市は市医師会を中心としてモデル地域の一つに選ばれ、緩和ケアの地域モデル作りを試みた。OPTIMでは、医師会に総合相談窓口「長崎がん相談支援センター」を設置し、関係機関との連絡調整・退院支援・地域連携促進を行った。また、市内3つの拠点病院の緩和ケアチーム・カンファレンスや、地域連携室とのハイリスク・カンファレンス(入院時リスク・スクリーニングで在宅移行に課題があると判定された症例を検討)に在宅スタッフが参加し、円滑な在宅移行へ向け助言を行い早期退院支援・調整に寄与した。緩和ケアの市民啓発、医療従事者への緩和ケア教育を行い、市民の意識の変容、医療従事者間の顔の見える関係が構築された。長崎市では、Dr.ネットが結成されて以来、栄養士、薬剤師、訪問看護ステーション、地域連携室、歯科医等の職種別のネットワークが次々と広がった。長崎市の自宅死率は、2005年の7.3%から増加し2013年には11.7%に達した。また、拠点病院から退院して訪問診療または往診を導入した症例数を2003年より経年的に集計すると、OPTIM開始の2008年以降急激な増加が明らかとなった。長崎市での自宅死亡率、在宅移行症例の増加には、Dr.ネットなど多職種のネットワーク構築とOPTIMの効果が寄与していると考えられる。長崎がん相談支援センターは市が発展的に継承し、2011年度より「長崎市包括ケアまちんなかラウンジ」として、がんに限定しない総合相談支援を行っている。ハイリスク・カンファレンスは、OPTIM後、長崎大学地域医療連携センターオープンカンファレンスとして、発展的に解消した。すなわち、病院から在宅医療へ移行した患者の症例を振り返り、質の高い退院支援、療養支援、在宅医療、福祉等を提供できるように病院・在宅スタッフの能力を養うことを目的に毎週定期開催されている。また、2015年に長崎大学病院に設置された緩和ケアセンターが、地域の病院、在宅スタッフと情報交換のため月例ミーティングを開催している。さらに、人生の最終段階における意思決定支援こそ患者のQOLを改善する上で必須の課題と捉え、アドバンス・ケア・プランニングの普及に努めている。以上の経験を踏まえ、在宅医療の現場からの要望を述べる。

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