演題抄録

シンポジウム

開催概要
開催回
第54回・2016年・横浜
 

データに基づくがん対策

演題番号 : S1-2

[筆頭演者]
若尾 文彦:1 

1:国立研究開発法人国立がん研究センター・がん対策情報センター

 

来年6月には、平成19年6月、平成24年6月に次いで、第3回目となるがん対策推進基本計画の策定が予定されている。次回の策定に向けて、平成27年6月に中間評価報告書が策定されたが、この報告書の内容は、前回の平成22年6月に策定された第1期の中間報告書に比べ、十分とは言えないが、着実な前進を示したと考える。それは、データを用いた評価を実施したことで、まず、第一に、全体目標「がんによる死亡者の減少」を人口動態統計に基づいて、「75歳未満の年齢調整死亡率の20%減少」に対して、17%減という予 測値が示されたことで、その結果、がん対策加速化プランの策定による対策の強化の推進につながったことである。

第二に、指標がない為に測定評価が行われなかった全体目標「全てのがん患者及び家族の苦痛の軽減並びに療養生活の質の向上」、さらに、第2期で追加された「がんになっても安心して暮らせる社会の構築」に関して、平成25年11月に急遽設定された研究班(がん対策における進捗管理指標の策定と計測システムの確立に関する研究班[研究代表者 若尾文彦])によって、がん対策進捗管理指標の策定と1万4千 人規模の患者体験調査の実施などによる実際の計測がなされ、中間評価報告に反映された点である。その他にも、患者体験調査に基づいたアウトカム指標による評価がなされたこと、医療の質を図る指標として、院内がん登録とDPCデータによるQuality indicator(QI)が提示されたことなども、大きな進歩であると考える。しかし、初回の測定であるために、進捗度合の評価ができなかったこと、研究班が主体となった調査であったため、十分な協力が得られずに、全ての都道府県データを計測できなかったことなどの課題も残されている。

がん対策推進基本計画も第1期のスタートから10年が経ち、がん診療連携拠点病院における院内がん登 録の体制が整い、精度が向上した院内がん登録や、今年から始まった全国がん登録に基づく、全国罹患数、生存率データなど新たに整備されてきたデータを活用するとともに、今まで不十分であった職域を含むがん検診の精度管理や正確な受診率データの計測など、データに基づいてがん対策を進め、データに基づいた対策の評価を行うことが重要であると考える。そのためには、指標の計測を踏まえた目標設定や研究班活動ではない形で、継続的に計測していく体制を整備し、継続的に評価していくことが必要であると考える。

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