演題抄録

パネルディスカッション

開催概要
開催回
第54回・2016年・横浜
 

がん診断初期から始まる社会的支援

演題番号 : PD-6

[筆頭演者]
坂本 はと恵:1 

1:国立研究開発法人国立がん研究センター東病院・サポーティブケアセンター/がん相談支援センター

 

がん対策の推進に伴い、がん患者の社会的問題に対する支援の必要性が広く認識されるようになった。
現在、我が国のがん患者が直面している社会的問題のうち、特徴的な事柄は以下の3点である。1点目は、少子高齢化社会の到来による支え手の減少である。1970年代の我が国では65歳以上の高齢者1人を9.8人の現役世代が支える構造であったが、約30年を経た2015年には高齢者1人を2.3人の現役世代が支えるところまで若い世代は減少した。家族内の支え手がいない中、高齢がん患者が安全に治療継続するためには、社会資源の活用による支え手を確保することが必要不可欠になりつつある。2点目に、社会との接点に生じる苦痛である。がん罹患に伴い、家庭内の役割変化やライフプランの変更を余儀なくされるという精神的・物理的な苦痛が存在することはすでに周知の通りである。また最近では、周囲からの誤解や偏見から生じる雇用の不平等など、他者から負わせられる問題が重要課題となりつつある。3点目に、治療費負担の増加があげられる。近年の目覚ましい新薬の開発は、長期生存を実現するとともに、終わりのない治療費の捻出という問題を生じさせている。また、経済的な負担感の増強が治療の意思決定に関連することが国際的にも指摘されつつあり、医療者にとっても重要課題となりつつある。
こうした社会的問題への支援については、病院という単位を超え、地域単位で、かつ子供から大人まで世代を超えた社会全体で予防・解決する体制を整備すべく、2012年6月に閣議決定した第2期がん対策推進基本計画の全体目標に「がんになっても安心して暮らせる社会の構築」が追加された。しかし現状では、社会的な問題を抱え支援を必要としている患者のうち、適切な支援を獲得できている患者は数パーセントと報告されており、未だ十分に支援が行き届いているとは言えない。
第2期がん対策推進基本計画の策定から5年を迎える今、我々は今一度、医療現場や地域の実情と患者のニーズに応じた支援のあり方を議論すると同時に、支援へのアクセス方法を確立することが求められている。
これらのことを踏まえ、本セッションでは、がん専門病院でソーシャルワークを実践する立場から、当院で多職種や地域と協働しながら展開している社会的支援について報告するとともに、今後のあり方について他登壇者の皆さまとともに検討したい。

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