演題抄録

パネルディスカッション

開催概要
開催回
第54回・2016年・横浜
 

あそかビハーラ病院におけるホスピス緩和ケア~医療と仏教の融合~

演題番号 : PD-3

[筆頭演者]
大嶋 健三郎:1 
[共同演者]
花岡 尚樹:1、山本 成樹:1、高橋 了:1、中原 登世子:1

1:あそかビハーラ病院

 

あそかビハーラ病院は浄土真宗本願寺派が母体となり京都府城陽市に設立された。ビハーラはサンスクリット語で「精舎・僧院」「身心の安らぎ・くつろぎ」「休息の場所」を意味する。国内でただひとつ、仏教を背景とする完全独立型緩和ケア病院である。ホスピス緩和ケアを実践、及び、臨床現場での僧侶育成を目的とする。患者さん・ご家族の苦痛を、医療と仏教の融合により、いかに支えるか、探求する。特色は僧侶3名が常駐し、価値観の押し付け・宗教の強制や勧誘を行わず、ケアの提供者としてチーム医療を担うことである。その数少ない特色から、宗教者・医療者・学生・ボランティアなどを対象に行う見学・研修の希望者が多く、年間約800人を受け入れている。加えて、一般の病院ではハードルが高いとされる、僧侶の臨床研修を実施している。僧侶の業務は多岐にわたり、日常生活の様々なお手伝いすることが心がけられている。僧侶は、患者さんの病気や人生の物語を、評価せずに傾聴し、ありのままを見つめ接する。訪室して傾聴や対話を行うこと、散歩や買物などに付き添うこと、院内の畑で一緒に農作業すること、など様々な関わりを持つ。宗教的活動としては、朝夕の勤行、亡くなった患者さんのお別れ会、季節的な仏教儀式の執行、患者さん・ご家族の希望に応えた宗教的儀礼に関する相談や読経、仏教に関する質問への対応などがある。僧侶は自らが仏教的資源となり、「死んだらどうなるのか」「自分は忘れられてしまうのか」といった患者さん・ご家族さんの宗教的な問いに応える。また、お看取りさせて頂いた患者さんの振り返りを行うデスカンファレンスを開催し、スタッフのケアも担う。このように僧侶の活動、役割を果たすためには、ホスピス緩和ケアの質が一定以上担保される必要がある。十分なケアを行われない場合、僧侶の日常は、医療・医療者への苦情や相談に時間を取られることとなる。非医療者として鳥観的な視点を持ちつつカンファレンスに参加し、医療内容を理解し医療者と共に患者と家族の切実な時間を支える。医療者と僧侶とがチームで話し合いを重ね、患者さん・ご家族の苦しみを和らげられるよう日々努める、その繰り返しこそが医療と仏教の融合の第一歩であると我々は考えている。当院でより多くの僧侶の研修を受けいれ、研修後の僧侶を多くの医療の場にチーム医療の一員として受け入れて頂くことが、今後の課題のひとつである。

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