演題抄録

一般演題 (示説)

開催概要
開催回
第54回・2016年・横浜
 

左鼠径ヘルニア陥頓を契機に発見されたS状結腸進行癌の1例

演題番号 : P9-3

[筆頭演者]
大谷 裕:1 
[共同演者]
山田 敬教:2、倉吉 和夫:2、梶谷 真司:2、若月 俊朗:2、河野 菊弘:2、吉岡 宏:2

1:松江市立病院・腫瘍化学療法・一般外科、2:松江市立病院・消化器外科

 

症例は60才、男性。数年前から左鼠径部に膨隆を自覚しており用手整復していたが、整復出来なくなったとの事で近医を受診し、精査目的で当院へ紹介された。左鼠径部は手拳大の膨隆を認め、超音波検査で左外鼠径ヘルニアと診断し用手的整復を試みたが、著明な圧痛により整復を断念した。CT検査ではヘルニア内容はS状結腸の一部で、脱出腸間膜内にリンパ節腫大が確認された。注腸検査では、ヘルニア嚢内に全周性狭窄病変を認めた。血液検査ではCEAの上昇を認めた。これら検査結果より左外鼠径ヘルニア陥頓に合併したS状結腸癌と診断し手術を施行した。手術は腹腔鏡補助下にD3リンパ節廓清を含むS状結腸切除術を行った後、TAPP法に準じて鼠径ヘルニア修復術を施行した。術後間も無く、熱発および激しい腰部痛を訴えるようになり、MRI検査や骨シンチグラフィーで多発骨転移を指摘され、頃を同じくして末梢血中に赤芽球(10%以上)が確認された。骨髄癌腫症の可能性を考え腸骨より骨髄生検を行ったところ、壊死組織に混じって腺癌細胞が確認され確定診断に至った。術後2週間経過時点よりDICを発症し集中治療室管理を要す状態となったが、治療が奏功せず術後51日目に永眠した。本症例はヘルニア嚢内腫瘍(intra saccular tumor)に分類され、極めてまれな病態である。その原因の多くが大腸癌で、特に左側結腸癌が大半を占めS状結腸癌には穿孔例が多い事が知られている。報告例の殆どが腹部正中切開と鼠径部切開を併用しているが、本症例の如く腹腔鏡下手術(開腹手術への併用例も含む)の報告例は3例であった。診断や治療法の判断に苦慮した事、術後に発症した病態が激烈であった事など、その経過のすべてが印象深いものであった。今回、同様の報告例との比較とともに我々が経験した症例の診断、治療の概要を報告する。

キーワード

臓器別:大腸・小腸

手法別:手術療法

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