演題抄録

一般演題 (示説)

開催概要
開催回
第54回・2016年・横浜
 

肝動脈化学塞栓療法における抗がん剤曝露対策

演題番号 : P76-6

[筆頭演者]
上本 かおり:1 
[共同演者]
安永 満:2、井上 隆:3、古谷 隆和:2、大石 俊之:2、桑江 利恵子:1

1:JA山口厚生連周東総合病院・看護部、2:JA山口厚生連周東総合病院・消化器内科、3:JA山口厚生連周東総合病院・外科

 

Ⅰ.背景
昨今、抗がん剤の曝露と取り扱う医療者の健康被害との因果関係が強く提言され、抗がん剤の取り扱いに対し各施設での組織的な曝露対策への取り組みが求められている。A病院では、平成27年度に肝動脈化学閉塞療法(以下TACEと略す)を38件行っている。TACEには抗がん剤を使用しているが、携わっているスタッフは、抗がん剤曝露について学ぶ機会も少なく、取り扱い方は曝露から医療従事者を保護できるレベルではなかった。今回、がん化学療法看護認定看護師である発表者とTACEに携わるスタッフが協働し曝露対策に取り組んだ。
Ⅱ.目的
1.抗がん剤曝露対策の重要性を啓発し、TACEに携わるスタッフが理解できる。
2.抗がん剤を取り扱う安全な環境を整えることができる。
Ⅲ.方法
1.TACEを行っている現場の抗がん剤の取り扱いについて実態調査を行う。
2.現場の看護師、放射線技師に抗がん剤曝露対策についての研修を行い、出席者が問題点を捉え改善策を考える。
3.抗がん剤のミキシング時、薬剤科で既に取り入れている閉鎖式薬液移行システム(以下CSTDと略す)の使用を検討。
Ⅳ.結果・考察
現場の実態は、抗がん剤のバイアルの蓋を取り外し、滅菌シャーレに抗がん剤の粉末を出してミキシングをしており、PPEも不十分であった。研修を受けたスタッフから「今までも危ないと思っていたけど、改めて抗がん剤を取り扱う環境が危険だということを知った」という意見があった。同時に、スタッフからの発信により、医師も、ミキシングする際、PPEを徹底し、N95マスクを着用するようになった。その後、ミキシング時にCSTDを使用してみたいと担当医師とスタッフから意見が出た。造影剤を使用するため、溶解する側の粘稠性が高く、CSTDでの溶解が可能かどうか懸念されたが、実物を使用しての試行により、CSTDの使用が可能であった。最終的に患者に投与する間際の閉鎖性までは保たれないが、取り組み前の方法と比較すると職員への曝露の機会は激減した。
Ⅴ.まとめ
抗がん剤の曝露経路は静脈内投与に限らないが、静脈内投与を行う部署以外での曝露対策への取り組みは不十分であるのが現状であり、医療従事者は、職業性曝露に対する漠然とした不安を持ちながら業務に携わっている。今回、TACEに携わるスタッフを対象にした抗がん剤曝露対策についての研修を行い、それが発端になり、研修を受けたスタッフらが主導的に抗がん剤の曝露について考え、環境を整える機会となった。

キーワード

臓器別:肝臓

手法別:局所療法

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