演題抄録

一般演題 (示説)

開催概要
開催回
第54回・2016年・横浜
 

集学的治療後, 2年間無治療経過観察中のStage Ⅳ HER2陽性乳癌の一例

演題番号 : P70-6

[筆頭演者]
中守 咲子:1 
[共同演者]
堀口 和美:1、大西 舞:1、後藤 理紗:1、岩本 奈織子:1、井寺 奈美:1、本田 弥生:1、宮本 博美:1、有賀 智之:1、山下 年成:1、黒井 克昌:1

1:がん・感染症センター都立駒込病院・乳腺外科

 

遠隔転移を有する進行乳癌患者の予後は依然として不良であるが,近年種々の治療法の進歩により,生存期間は2年に達するとされる.今回我々は,診断時Stage IVのHER2陽性ホルモン受容体陽性乳癌に対し,抗HER2療法,化学療法,放射線療法,局所コントロール目的の腫瘍切除を施行し,8年間経過した現在において,再発巣の寛解を維持したまま無治療経過観察中の1例を経験したので報告する.症例は58歳女性.5か月前から自覚する左前胸部の皮膚潰瘍の疼痛を主訴に当院を受診した.初診時,左乳房CA領域を中心とする13cm大の皮膚潰瘍を伴う腫瘤性病変及び両側腋窩リンパ節腫大を認めた.また,腰椎MRIで第5腰椎に骨溶解病変を認め,骨転移と診断した.生検では浸潤性乳管癌,ER+,PgR-,HER2:3+の診断であった.以上より,左乳癌 T4bN1M1(OSS,LYM)StageIVに対し,全身化学療法を施行する方針とした.手術不能HER2陽性乳癌に対する薬物療法に関する医師主導型臨床試験に参加し,epirubicin+cyclophosphamide(EC)療法4コース施行後,Trastuzumab(Tra)+docetaxel(DOC)投与を20コース施行した.その結果,腰椎転移はcomplete response(CR)を得たが局所病変は増大し,新たに3箇所の脳転移を認め,総合評価progressive disease(PD)と判断した.脳転移に対しγナイフを施行した後,Tra+paclitaxel(PTX)投与を行った.脳転移はCRを得られたが,局所病変は増大し,第3頸椎及び恥骨へ新規の骨転移を認めたためPDと判断,Tra+vinorelbin(VNR)投与を行った.局所病変は縮小し,その他の多発骨転移はCRを得られた.Tra+VNR投与を6コース行ったところで,局所コントロール目的に左乳房腫瘍切除+植皮術を施行した.術後,Tra+VNR投与を再開するも,Grade 2の末梢性感覚ニューロパチーのためVNR中止となり,その後Traのみ14ヶ月継続した.以降2年間に亘って無治療経過観察中であるが,再発巣の再燃あるいは新規の転移の出現を認めていない.多発転移を有するStageIV乳癌であったが,集学的治療の奏効により,診断時より8年経過した現在,無治療にて生存している稀な1例を経験したため,ここに文献的考察を加えて報告する.

キーワード

臓器別:乳腺

手法別:集学的治療

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