演題抄録

一般演題 (示説)

開催概要
開催回
第54回・2016年・横浜
 

術前化学療法奏効度が異なる同時性両側性乳癌の一例

演題番号 : P70-5

[筆頭演者]
高橋 洋子:1 
[共同演者]
柳澤 貴子:1、吉川 三緒:1、松本 暁子:1、神野 浩光:1、池田 正:1、杉本 雅和:3、笹島 ゆう子:2

1:帝京大学・医学部・外科学講座、2:帝京大学・医学部・病理学講座、3:帝京大学・医学部附属病院・薬剤部

 

症例は43歳女性。2014年2月右乳房腫張と発熱を主訴に救急外来受診した。既往に高血圧、高脂血症、家族歴は父 膀胱癌、伯母 白血病を認めた。来院時、右乳房全体の皮膚発赤と浮腫および腋窩リンパ節腫大を認めたが腫瘤は非触知であった。当科受診となり,左乳房10時方向にも腫瘤・腋窩リンパ節腫大を指摘された。針生検施行し、両側浸潤性乳管癌(右;乳頭腺管癌 NG1、左;硬癌、NG3)、サブタイプは両側Luminal B type(ER陽性、PgR陽性、HER2 増幅なし(1.1)、MIB-1右35%、左70%)と診断された。遠隔転移を認めず、同時性両側性乳癌(右T4dN3aM0 stageIIIC、左T3N1M0 stageIIIA)に対して、術前化学療法を施行した。本症例はBMI 42、BSA 2.2/m2と高度肥満であったが、PSや心肺機能は保たれており、米国腫瘍学会ガイドラインに基づき、体表面積どおりFEC(500/90/50 mg/m2=1100/198/1100 mg/body、q3w×4サイクル)→Docetaxel(DTX)(75mg/m2=165 mg/body、q3w×4サイクル)を完遂した。FEC終了時効果判定は両側SDだったが、DTX奏効し、右乳房は皮膚の炎症・発赤は消失、色素沈着となり、左乳癌は著明に縮小し、両側腋窩・鎖骨上リンパ節も縮小し、術前化学療法効果判定は右SD、左PRであった。2014年10月両側胸筋温存乳房切除術を施行した。最終病理診断は、右乳癌は浸潤性乳管癌(硬癌)、16.0cm、s、ly+、v+、NG3、腋窩リンパ節37/39、切除断端近傍の脂肪識にも浸潤癌を認め、化学療法後組織学的治療効果Grade1aであった。左乳房には原発巣・リンパ節ともに癌細胞は認められず(腋窩リンパ節0/24)、病理学的完全奏効(Grade 3)と診断された。右乳癌は手術標本のER、PgRには染色強度・割合に変化はなかったが、MIB-1は20%と減少し、HER2はFISH 2.0(針生検1.1)と増幅みられた。術後補助療法は、右胸壁・所属リンパ節への放射線治療(60Gy)施行し、さらに抗HER2療法を術後1年間施行。内分泌療法開始し、初診より2年2カ月経過したが、無再発にて通院中である。両側同時性乳癌の頻度は全乳癌0.02~2.15%、炎症性乳癌は1~5%と比較的稀とされる。炎症性乳癌は予後不良な乳癌とされるが、HER2タイプ炎症性乳癌は抗HER2療法により他サブタイプに比して予後良好との報告もある。また、化学療法後のMIB-1低下は、臨床効果に繋がるとの報告もある。本症例のように術後組織型やサブタイプが変化する乳癌の中には、治療の選択肢が増え、予後の延長が期待できると考えられる。

キーワード

臓器別:乳腺

手法別:集学的治療

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