演題抄録

一般演題 (示説)

開催概要
開催回
第54回・2016年・横浜
 

転移性乳癌に対する積極的集学的初期治療による生存率改善効果の検討

演題番号 : P70-2

[筆頭演者]
岸本 昌浩:1 
[共同演者]
一瀬 規子:1、北村 優:1、赤塚 昌子:1

1:医療法人明和病院・乳腺・内分泌外科

 

転移性乳癌はほとんどが治らないとされ、life threateningでなければ内分泌療法単独から効果がなくなれば化学療法へとする治療が推奨されてきた。近年、さまざまな治療薬が開発され、この30年間で完全寛解(cCR)群の5年全生存率が約37%から約80%へと改善したとの報告がある。それにもかかわらずcCR率は約16%のままであり、全生存率(OS)は2年で約50%、10年で約10%とほとんど改善がみられていない。そこで今回われわれは転移性乳癌に対し、初期より積極的に集学的治療をおこなうことがOSを改善するかをレトロスペクティブに検討した。対象は2011年4月から2016年3月に当院にて加療した乳癌265例のうち、転移性乳癌27例。平均年齢60(40-76)歳。Luminal type (Luminal)18例、HER2 rich (HER2)2例、Triple negative (TN)4例、Luminal HER2 2例、Luminal + TN併存1例。転移部位は肺・胸膜9例、肝4例、骨10例、遠隔リンパ節14例(頚部9例、対側腋窩4例、縦隔4例)、皮膚1例、脳1例、胃1例(重複あり)。治療は全例化学(+内分泌、+抗HER2)療法を施行した(5例は内服抗癌剤)。T4の14例はすべて手術前に化学(+内分泌、+抗HER2)療法を施行した。cCRの得られた頚部リンパ節転移は鎖骨上を含め放射線照射を施行した。肝転移巣の遺残には、ラジオ波焼灼あるいは肝切除を施行した。cCR後は原則的に内服抗癌剤(+内分泌、+抗HER2)を施行した。治療効果判定にはPET、CT、骨シンチグラフィ、MRIを用い、転移巣消失(骨転移は完全な造骨性変化も可)にてcCRと判断した。結果は観察期間3-60ヶ月(中央値25ヶ月)で2年生存率100%。cCR 16例(59%、観察期間9-60ヶ月、中央値26ヶ月)、cPR7例(26%、同3-33ヶ月、同10ヶ月)、PD4例(15%、同22-50ヶ月、同40ヶ月)。cCRのうちHER2で頚部リンパ節転移例に脳転移が出現し、薬物療法とγナイフでcPRとなった。PDのうち骨転移2例(TNとLuminal)で多発肝転移が出現し、薬物療法と肝切除およびラジオ波焼灼にてそれぞれcCRとcPRとなった。Luminalで多発肺・肝・骨転移の1例は死亡した(76歳、観察期間25ヶ月)。考察:これまでの報告ではcCR率は約16%とされてきた。しかし、今回積極的集学的初期治療により、cCR率は59%に改善した。また、2年OSは100%に改善した。cPR群の観察期間が短く、今後cCR率はさらなる改善が見込まれる。今後転移性乳癌に対し積極的にcCRを目指す新治療戦略を構築していく必要性が示唆される。

キーワード

臓器別:乳腺

手法別:集学的治療

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