演題抄録

一般演題 (示説)

開催概要
開催回
第54回・2016年・横浜
 

糖質制限によりCRP、肝胆道系酵素の改善がみられた肝門部胆管癌による癌性悪液質の1例

演題番号 : P64-8

[筆頭演者]
高坂 佳宏:1 
[共同演者]
白畑 敦:1、松本 匡史:1

1:医療法人社団明芳会横浜旭中央総合病院・外科

 

<はじめに>昨今、分子生物学的な解明には目覚ましいものがあり、腫瘍を代謝・炎症性疾患と捉えた治療のStrategyが脚光を浴びるようになってきた。今回糖質制限によりCRP、肝胆道系酵素の改善がみられた症例を経験したので文献的な考察を加え報告する。
<症例>67歳、男性。2009年8月前医にて肝門部胆管癌に対し拡大肝右葉切除術施行(pStage 4a)。胆管切除断端陽性のためGEM6ヶ月と放射線照射50Gyを補助療法として施行。2012年8月十二指腸球部再発に対してステント留置後、GEM+CDDPの化学療法を2014年8月まで行うが、腫瘍増大と胆管炎頻発のため抗腫瘍治療を断念し、緩和ケア目的で当科に紹介となった。
《来院時現症》身長170cm、体重45kg、BMI15.6、WBC5600(Neut.79.8,lym.11.9)、sAlb4.0g/dl、T.Bil3.7mg/dl、AST111IU/l、CRP4.4mg/dl、CEA54.3ng/ml、総ケトン体31μmol/l介入前食事は総摂取カロリー1,187kcal/日、糖質量172g/日(58%E)、蛋白質量55g/日(19%E)、脂質量31g/日(23%E)であった。
《介入及び指導》緩和医療における支持療法という位置づけで説明し納得された上で、糖質摂取量が1日20g以下となるように食事指導し、目標摂取カロリー等細かい指導は行わず2ヶ月間介入した。飲酒は蒸留酒のみ可とし、内服薬の変更は行っていない。
<結果>実際の食事を解析し平均すると、総摂取カロリー880kcal/日、糖質量62g/日(28%E)、蛋白質量44g/日(20%E)、脂質量49g/日(52%E)、焼酎30ml/日という状況であった。体重44kg、BMI15.2、WBC4700(Neut.75.4,lym.17.3)、sAlb3.8g/dl、T.Bil1.5mg/dl、AST56IU/l、CRP1.5mg/dl、CEA73.9ng/ml、総ケトン体599μmol/lと数値の変動がみられた。経過中低栄養、低血糖症状等問題はなかった。
<考察>糖質制限により肝胆道系酵素と炎症反応の改善をみた可能性が考えられる。その機序として1)Warburg効果を有する腫瘍に対するエネルギー源と基質供給の抑制による抗腫瘍効果、2)またそれによる腫瘍由来炎症性サイトカインの産生低下、3)高血糖状態で惹起する腫瘍増殖シグナル伝達系(IGF-1/insulin等)及び炎症性シグナル伝達系(NF-κB、TNF-α等)の抑制等が考えられる。
<結語>複合的代謝異常で生ずる癌性悪液質に対するStrategyとしての糖質制限の可能性が示された。

キーワード

臓器別:その他

手法別:支持療法

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