演題抄録

一般演題 (示説)

開催概要
開催回
第54回・2016年・横浜
 

変異型IDH1による腫瘍化は相同組換え能を亢進させテモゾロマイド抵抗性を示す

演題番号 : P61-9

[筆頭演者]
大場 茂生:1 
[共同演者]
Pieper Russell:2、廣瀬 雄一:1

1:藤田保健衛生大学・医学部・脳神経外科、2:カリフォルニア大学サンフランシスコ校・脳神経外科

 

Isocitrate dehydrogenase 1 (IDH1) の 変異は主に低悪性度のグリオーマに生じ、グリオーマの発生に関与するだけではなくグリオーマに対する標準的な治療薬であるtemozolomide (TMZ)に対する良好な反応性とも関与しているとされている。しかしながら変異型IDH1を有するグリオーマは有さないグリオーマとは非常に異なった遺伝子背景をもつため、変異型IDH1が如何にTMZに対する反応性に影響を与えるのかは評価が困難である。そこで遺伝子導入によりp53とRbタンパクの発現を抑え、更にhTERTの発現を亢進させることで不死化させたヒトアストロサイトに野生型または変異型のIDH1を導入し、腫瘍化の有無とTMZに対する反応性を調べた。野生型IDH1を過剰発現させた細胞では、TMZ投与3日目よりDNA損傷とG2期細胞停止を認めた。一方変異型 IDH1を過剰発現させた細胞では同様に投与3日目よりDNA損傷とG2期細胞停止を認めたが、前者に比べ早期にDNA損傷の修復とG2期細胞停止からの復帰を認め、TMZに対して抵抗性を呈した。変異型IDH1を過剰発現させた細胞では相同組み換え効率が上昇しており、TMZ抵抗性との関係が示唆された。相同組み換えDNA修復の主たる因子であるRad51を遺伝子学的あるいは薬理学的に抑制することでTMZに対する抵抗性は打ち消された。これらの結果より変異型IDH1により特殊な腫瘍化経路が活性化しそれにより相同組み換え能が亢進しTMZによるDNA損傷がより早急に修復され、TMZに対して抵抗性を示すことがわかった。また、相同組み換え能を抑制することで変異型IDH1をもつグリオーマのTMZに対する感受性を高める可能性があることが示唆された。

キーワード

臓器別:脳神経

手法別:基礎腫瘍学

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